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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

December 8, 2005
Vol. 353 No. 23

ORIGINAL ARTICLE

  • Clostridium difficile の流行株
    An Epidemic Strain of Clostridium difficile

    C. difficile 関連疾患は,発生率と重症度が増してきている.この報告は,8 医療施設における過去 5 年間の流行株,BI/NAP1 の出現について詳述している.この菌株は,フルオロキノロン系抗菌薬に対する耐性の増加と,binary toxin CDT として知られる新規毒素に関連している.

  • 毒性の強い Clostridium difficile 菌株によるクローン性の集団発生
    Clonal Outbreak of a Virulent Strain of Clostridium difficile

    2003 年の前半,カナダのケベック州で C. difficile の感染数(入院 1,000 件当り 22.5 件)が増加した.この集団発生は,フルオロキノロン系抗菌薬やセファロスポリン系抗菌薬の投与と関連しており,C. difficile による死亡率(6.9%以下)と結腸切除術の施行率(1.9%以下)が上昇した.集団発生の原因となった菌株は,binary toxin 遺伝子の存在と毒素抑制遺伝子の部分欠失が示唆されることから,毒性が増強していることが判明した.

  • 痛風に対するフェブキソスタットとアロプリノールの比較
    Febuxostat vs. Allopurinol for Gout

    尿酸高値を示す痛風患者を対象としたこの無作為試験では,新規の非プリン系キサンチン酸化酵素選択的阻害薬フェブキソスタットと,アロプリノールとを比較した.痛風発作の発生率は,アロプリノール群とフェブキソスタット群で同程度であった.フェブキソスタットはいずれの用量(80 mg,120 mg)でも,アロプリノール 300 mg と比較して,効果的に尿酸値を低下させた.

  • 潰瘍性大腸炎患者に対するインフリキシマブ
    Infliximab for Ulcerative Colitis

    インフリキシマブは,腫瘍壊死因子 α に対するモノクローナル抗体であり,クローン病治療に有効である.この論文では,従来の治療にもかかわらず活動性潰瘍性大腸炎を有する患者を対象とした,インフリキシマブに関する 2 つの無作為プラセボ対照試験の結果を報告している.インフリキシマブは,臨床反応および寛解の達成と維持において,プラセボよりも有効であった.

MEDICAL PROGRESS

  • 腎細胞癌
    Renal-Cell Carcinoma

    米国において,腎癌は男性で 7 番目,女性で 12 番目に多い悪性疾患であり,癌全体では 2.6%を占めている.この論文では,腎癌の徐々にすすむ症状,腎癌に対する理解,治療法について論じている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 睡眠中に心停止をきたした男性
    A Man with Cardiac Arrest while Sleeping

    35 歳の男性が睡眠中に叫び声を上げ,無反応となった.救急救命士が男性の心室細動を発見し,正常洞調律を回復させたが,男性の意識は戻らなかった.救急部で行った心電図検査では ST 上昇がみられ,血清中にプソイドエフェドリンの痕跡が認められた.心カテーテル検査の結果は正常であった.診断検査が行われた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • ヘム輸送を理解する
    Understanding Heme Transport

    新しく同定された蛋白,ヘムキャリア蛋白 1(heme carrier protein 1)は,細胞内ヘムの取り込みを調節すると考えられる.この蛋白の活性を妨げる変異が,遺伝性のヘモクロマトーシス患者の臨床的重症度における多様性の一因である可能性がある.