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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

March 16, 2006
Vol. 354 No. 11

ORIGINAL ARTICLE

  • 喘息における CD4+ インバリアント T 細胞受容体陽性ナチュラルキラー T 細胞
    CD4+ Invariant T-Cell Receptor-Positive Natural Killer T Cells in Asthma

    喘息は気道炎症を伴う.この研究において,喘息の気道で特定されたリンパ球の免疫組織化学的解析の結果は,ナチュラルキラー T 細胞はインバリアントな T 細胞受容体を発現し,2 型ヘルパー T 細胞(Th2)サイトカインを産生するいう知見と一致した.これらの知見は,これらの気道リンパ球は Th2 T 細胞であるとしたこれまでの知見に疑問を投げかけるものである.

  • 高齢者の大うつ病に対する維持療法
    Maintenance Treatment of Major Depression in Old Age

    大うつ病の高齢患者で,パロキセチンと心理療法による最初の治療に反応した患者を対象としたこの無作為化対照試験では,うつ病の再発は,2 年間にわたるパロキセチン維持療法により予防されたが,心理療法による維持療法では予防されなかった.大うつ病の再発率は,パロキセチン+心理療法群で 35%,パロキセチン+臨床管理面談群で 37%,プラセボ+心理療法群で 68%,プラセボ+臨床管理面談群で 58%であった.

  • 胚盤胞期および卵割期の単一胚による体外受精の比較
    In Vitro Fertilization with Single Blastocyst-Stage versus Cleavage-Stage Embryos

    初回または 2 回目の体外受精を受ける 36 歳未満の女性を対象としたこの無作為化試験では,胚盤胞期(第 5 日)の単一胚の移植を行った場合,卵割期(第 3 日)の単一胚の移植を行った場合と比較して,妊娠率と出産率が高かった.多胎妊娠はまれであった.

SPECIAL ARTICLE

  • 質の低い医療を受けるリスクがもっとも高いのはだれか?
    Who Is at Greatest Risk for Receiving Poor-Quality Health Care?

    先行研究により,社会人口学的グループ間で,医療の利用と質に差がみられることが明らかにされている.過去 2 年間に医療機関を 1 回以上訪れた患者を対象としたこの研究では,医療の質のスコアは全体では良好ではなかったが,男性よりも女性で低いということや,白人の患者よりも黒人やヒスパニック系の患者で低いということはなかった.低収入の患者では医療の質がわずかに低く,推奨される医療を受けていたのは,年間世帯収入が 15,000 ドル未満の患者で 53%,50,000 ドル以上の患者で 57%であった.

CURRENT CONCEPTS

  • 高齢患者のせん妄
    Delirium in Older Patients

    せん妄の有病率は加齢と共に急激に上昇し,高齢患者では,入院時に約 20%で入院理由にかかわらずせん妄がみられる.この総説では,せん妄の臨床症状と危険因子,そしてこの病態を呈する患者の評価について概説している.せん妄の発症機序に関する現時点での最新の知見と共に,この頻度の高い合併症に対する実際的な予防指針が示されている.

MECHANISMS OF DISEASE

  • T 細胞による免疫応答の制御
    Regulation of Immune Responses by T Cells

    この総説では,免疫系が防御免疫を維持しながら自己免疫を回避するメカニズムの解明において,最近みられた進歩を概説している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 精神状態の変調をきたしたクローン病の女性
    A Woman with Crohn's Disease and Altered Mental Status

    クローン病を有し,メルカプトプリンとインフリキシマブによる治療を受けていた 71 歳の女性が,倦怠感,視力障害,頭痛と気分の変調を訴え,鼠径部腫瘤を呈した.突然左側に脱力が生じ,脳画像検査で腫瘤が認められたため,女性は当院に移送された.入院の直後に女性は発作を起し,無反応となった.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • microRNA とコレステロールを標的にする
    Targeting MicroRNA and Cholesterol

    低分子の抑制性 RNA(small inhibitory RNA)に関する従来の研究では,それらを疾患の動物モデルに導入することで,その治療上の有用性が検証されてきた.ある新しい研究では,これとは逆の方針が取られている.それは,マウスのある特定の内在性抑制性 RNA(endogenous inhibitory RNA)を除去することによって,血清コレステロールを大幅に低下させるというものである.