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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

April 22, 2010
Vol. 362 No. 16

ORIGINAL ARTICLES

  • ナテグリニドと耐糖能異常の進行
    Nateglinide and Progression of Impaired Glucose Tolerance

    耐糖能異常患者に速効型インスリン分泌促進薬ナテグリニドを投与しても,5 年間の試験期間中に糖尿病発症率は低下しなかった.また,心血管イベントリスクも低下しなかった.したがって,ナテグリニドは耐糖能異常の管理には適していない.

  • 糖尿病と心血管イベントに対するバルサルタンの効果
    Effect of Valsartan on the Incidence of Diabetes and Cardiovascular Events

    この大規模臨床試験では,アンジオテンシン受容体拮抗薬バルサルタンにより,耐糖能異常患者の糖尿病発症リスクは低下したが,その効果は小さく,心血管イベント発生率は低下しなかった.したがって,耐糖能異常に対しては,生活習慣への介入が最善の管理法であると考えられる.

  • 壊死性膵炎に対するステップアップアプローチと開腹膵壊死部摘除術の比較
    A Step-up Approach or Open Necrosectomy in Necrotizing Pancreatitis

    壊死性膵炎患者を対象としたこの無作為化試験では,低侵襲のステップアップアプローチ(経皮的ドレナージを行い,その後必要に応じて低侵襲の後腹膜膵壊死部摘除術を行う)は,開腹膵壊死部摘除術よりも合併症が少ないことと関連していた.

CLINICAL THERAPEUTICS

  • 分娩と出産のための硬膜外鎮痛
    Epidural Analgesia for Labor and Delivery

    分娩誘発中の 30 歳の妊娠女性に,オピオイドの静脈内投与にもかかわらず強度の痛みが続いている.硬膜外鎮痛が推奨されている.硬膜外鎮痛は,腰椎硬膜外腔に局所麻酔薬とオピオイド鎮痛薬を注入して行う.これらの薬物は硬膜を通過して拡散し,脊髄神経根に作用する.硬膜外鎮痛により帝王切開率が上昇することはない.

REVIEW ARTICLES

  • 髄膜炎菌ワクチンの最近の進展
    Recent Evolution of Vaccines against Neisseria meningitidis Infection

    髄膜炎菌は依然.として髄膜炎と敗血症の主要な原因である.この総説では,髄膜炎菌感染に対する免疫の解明における最近の状況を報告する.髄膜炎菌ゲノムに関する知見から,新しい抗原が同定された.この感染症に対する抵抗力がとくに弱い乳児において,ワクチンの免疫原性を向上させることが重要な課題である.

VIDEOS IN CLINICAL MEDICINE

  • 超音波ガイド下の内頸静脈穿刺
    Ultrasound-Guided Internal Jugular Vein Cannulation

    内頸静脈穿刺は中心静脈アクセスを確保するために実施されるが,その目的は中心静脈圧のモニタリング,肺動脈カテーテルの挿入,治療薬や栄養の静脈内投与,血液透析,心臓ペースメーカーの留置などさまざまである.内頸静脈穿刺のガイドとして超音波検査の使用が増えたことで,成功率が上昇し,合併症が減少した.このビデオでは,超音波ガイド下の内頸静脈穿刺を実演している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 進行性の呼吸困難を呈する男性
    A Man with Progressive Dyspnea

    89 歳の男性が,6 ヵ月間で呼吸困難が進行し,この 3 日間で増悪して入院した.男性にはアスベスト曝露歴と,長年にわたる喫煙歴があった.画像検査で,重なり合うスリガラス状陰影を伴う胸膜肥厚斑と,肺の間質線維化が認められた.低酸素血症と間欠的な低血圧が発現した.酸素補給,人工換気,昇圧薬の投与にもかかわらず心停止を起こし,患者は入院 8 日目に死亡した.剖検が行われた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • RFX6 と膵β細胞
    RFX6 and the Pancreatic Beta Cell

    RFX6 転写因子はβ細胞の発現と機能にきわめて重要であるという知見は,β細胞機能不全患者の糖尿病治療に実験的アプローチをもたらす可能性がある.