The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

February 11, 2010
Vol. 362 No. 6

ORIGINAL ARTICLE

  • 小児期の肥満・その他の心血管危険因子と早期死亡の関連
    Childhood Obesity, Other Cardiovascular Risk Factors, and Premature Death

    この研究では,糖尿病でないアメリカインディアンの小児を対象に,BMI,耐糖能,血圧値,コレステロール値を検査し,成人期まで追跡した.小児期の肥満・耐糖能異常・高血圧と内因性の早期死亡に強い関連が認められたが,小児期の高コレステロール血症と内因性の早期死亡には強い関連は認められなかった.

  • 透析アクセスグラフト不全に対するステントグラフト内挿術とバルーン血管形成術の比較
    Stent Graft versus Balloon Angioplasty for Failing Dialysis-Access Grafts

    この無作為化多施設共同試験では,静脈吻合部狭窄が認められた血液透析患者を,バルーン血管形成術を単独で施行する群と,ステントグラフト内挿術を併用する群に割り付けた.主要エンドポイントは,治療部位の開存性と血管アクセス回路全体の開存性とした.ステントグラフトの使用により,経皮的修復の成績が改善された.この治療法により,より長期的かつ良好な開存性が得られ,再介入が不要になると考えられる.

  • インドにおける内臓リーシュマニア症に対するアムホテリシン B リポソームの単回投与
    Single-Dose Liposomal Amphotericin B for Visceral Leishmaniasis in India

    内臓リーシュマニア症(カラアザール)は長期間の治療を要することが多い.インド・ビハール州の 400 例以上の患者を対象にしたこの非盲検無作為化試験では,アムホテリシン B リポソームの単回点滴静注の有効性は,従来のアムホテリシン B デオキシコール酸塩の隔日 15 回点滴静注に比べて劣っていなかった.

  • 乳癌に対する少分割照射の長期成績
    Long-Term Results of Hypofractionated Radiation Therapy for Breast Cancer

    浸潤性乳癌に対する乳房温存手術後の放射線治療の最適な分割スケジュールは明らかにされていない.この試験では,患者を少分割照射群と標準的分割照射群に割り付けた.10 年後,両群の局所再発リスクは同程度であり,乳房の外観にも違いはみられなかった.

BRIEF REPORT

  • 骨形成不全症におけるシクロフィリン B の欠失
    Lack of Cyclophilin B in Osteogenesis Imperfecta

    骨形成不全症は,骨脆弱性を引き起こす遺伝性疾患である.著者らは,ペプチジルプロリルイソメラーゼ B 遺伝子(PPIB)に変異を有するため,シクロフィリン B が存在しない同胞 2 例について報告している.発端例のコラーゲンの重なり構造とプロリル 3 -ヒドロキシル化は正常であった.

CURRENT CONCEPTS

  • 自然早期産の謎
    The Enigma of Spontaneous Preterm Birth

    早期産率は,世界的に増加し続けている.2006 年には,米国では生児出生の 12.8%を早期産が占めたが,原因を特定できる症例は約半数しかなかった.この総説では,早期産の原因を解明し,その予防策を見出すための課題について論じている.

INTERACTIVE MEDICAL CASE

  • 診断を徹底追跡する
    Stalking the Diagnosis

    この双方向の特集記事では,めまい,脱力,頻尿,発熱,口腔乾燥が数日間続いたため主治医を受診した,58 歳の女性の症例を紹介する.尿検査では白血球エステラーゼと亜硝酸塩が陽性で,尿培養では大腸菌が増殖した.NEJM.org で,この症例の検査法を指示してご自身の診断・治療技術を確認し,ほかの方と比較してください.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 関節痛,口腔潰瘍,失明,声帯麻痺を呈する男性
    A Man with Arthralgias, Oral Ulcers, Vision Loss, and Vocal-Cord Paralysis

    53 歳の男性が,関節痛,口腔潰瘍,失明,声帯麻痺のためリウマチ科を受診した.19 ヵ月前に全身の関節痛が発現するまで,健康状態は良好であった.コルチコステロイド,メトトレキサート,エタネルセプトによる治療を受けた.発熱,筋肉痛,関節腫脹,耳鳴が発現し,その後舌潰瘍,嚥下痛,突然の片眼の失明,声帯麻痺が生じた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 自然免疫と HIV
    Innate Immunity and HIV

    天然の細胞分子テセリン(tetherin)は,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染細胞からの HIV ビリオン放出を抑制する.この作用は,出芽するビリオンを細胞表面に文字どおりつなぎとめる(tether)ことによるものである.