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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
May 7, 2020
Vol. 382 No. 19
This Week in the JOURNAL
ORIGINAL ARTICLES
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重症 Covid-19 に対するロピナビル・リトナビル経口投与
Oral Lopinavir–Ritonavir for Severe Covid-19中国の研究者らが,SARS-CoV-2 に感染した成人の Covid-19 患者 199 例の治療を目的に行ったロピナビル・リトナビル投与の非盲検無作為化臨床試験の結果を報告している.主要エンドポイントは臨床的改善までの期間であった.
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急性移植片対宿主病に対するルキソリチニブ
Ruxolitinib for Acute Graft-vs.-Host Disease急性移植片対宿主病(GVHD)がグルココルチコイド抵抗性である場合の最良の治療法に関するコンセンサスはない.第 3 相無作為化試験で,ルキソリチニブによって奏効が得られた割合は,28 日の時点で 62%,56 日の時点で 40%であったのに対し,試験担当医師が選択した治療では 28 日の時点で 39%,56 日の時点で 22%であった.
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血球貪食性リンパ組織球症に対するエマパルマブ
Emapalumab in Hemophagocytic Lymphohistiocytosis過剰炎症を特徴とするまれな遺伝性免疫疾患である原発性血球貪食性リンパ組織球症は,乳児期に発症し,死亡率は高い.小児 34 例を対象とした試験で,抗インターフェロンγ抗体(エマパルマブ)により 65%で奏効が得られ,治療歴のある患児の 70%で,骨髄移植までの橋渡しとしての役割を果たした.
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再滅菌した心臓植込み型デバイスによる感染
Infections with Resterilized Cardiac Implanted Devicesカナダで患者の死後にペースメーカーと除細動器を摘出し,検査と再滅菌を行い,医療を十分に受けられない国の患者に植え込んだ.2 年の時点での感染発生率に,再利用デバイスを植え込まれた患者と,マッチさせた対照である新しいデバイスを植え込まれた患者とで有意差は認められなかった.
CLINICAL PROBLEM-SOLVING
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水のなかに潜む
Hiding in the Water59 歳の女性が,3 ヵ月間続く消化不良と食欲不振を訴えて受診した.激しい上腹部不快感が右上腹部に放散し,3~5 時間持続することがおよそ 6 日おきに起こった.
CORRESPONDENCE
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韓国における不顕性の Covid-19
Subclinical Covid-19 in South Korea韓国で初期に確認された Covid-19 症例 28 例のうち,11 例は無症状であったり初期症状が多様であったりしたため診断が遅れた.無症状であった 3 例は,サーベイランス検査で Covid-19 と診断された.
Videos, Images, and Multimedia
IMAGES IN CLINICAL MEDICINE
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真菌性眼内炎
Fungal Endophthalmitis34 歳の男性が右眼の痛みと視力低下を訴えて受診した.倒像鏡検査にて,硝子体の混濁と,網膜および視神経の病変を認めた.硝子体切除術中に視神経に付着した白色の腫瘤を認め,真菌性眼内炎の診断が下された.
REVIEW ARTICLE
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エボラ
Ebolaエボラウイルスの生物学,その感染症の疫学・病因,集団発生の管理について概説されている.この危険なフィロウイルスの診断法,ワクチン,治療法の開発が近年進歩している.
NEJM QUICK TAKE
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重症 Covid-19 患者を治療する
Treating Severe Covid-19Covid-19 に対する有効な治療薬はまだ見つかっていないが,SARS や MERS での過去の経験から既存薬の試験が行われている.その一例として,HIV-1 アスパラギン酸プロテアーゼ阻害薬ロピナビルに,チトクローム P450 を阻害することでロピナビルの半減期を延長させるリトナビルを併用する試験がある.新しい研究知見が短い動画にまとめられている.
PERSPECTIVE AUDIO INTERVIEW
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州に委ねる
Punting to the StatesRachel Sachs が,カナダから処方薬を輸入するためのプログラムを州が策定することを可能にするトランプ政権の提案について論じている.