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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
September 2, 2021
Vol. 385 No. 10
This Week in the JOURNAL
ORIGINAL ARTICLES
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チリにおける不活化 SARS-CoV-2 ワクチン
Inactivated SARS-CoV-2 Vaccine in Chileチリで,1,020 万例の参加者が含まれる全国前向きコホート研究が行われ,中国で開発された 28 日間隔で 2 回接種する不活化 SARS-CoV-2 ワクチンの有効性が推定された.完全接種者(2 回目の接種後 14 日以上経過)における有効率は,Covid-19 に対して 65.9%,入院に対して 87.5%,ICU 入室に対して 90.3%,死亡に対して 86.3%であった.
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免疫性血小板減少症に対するミコフェノール酸モフェチル
Mycophenolate Mofetil for Immune Thrombocytopenia免疫性血小板減少症患者を対象とした多施設共同非盲検無作為化試験で,ミコフェノール酸モフェチル+グルココルチコイドの投与を受けた群では血小板数 100,000/μL 超の患者の割合が 91.5%であったのに対し,グルココルチコイド単剤投与を受けた群では 63.9%であった.身体機能と倦怠感の QOL 指標はミコフェノール酸モフェチル群のほうが低かった.
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エフペグレナチドによる 2 型糖尿病の心血管転帰と腎転帰
Cardiovascular and Renal Outcomes with Efpeglenatideこの試験では,既知の 2 型糖尿病を有し,心血管疾患の既往歴または腎疾患の現病歴があり,その他の心血管危険因子を少なくとも 1 つ有する参加者を対象に,エキセンジンをベースとしたグルカゴン様ペプチド 1 受容体作動薬であるエフペグレナチドの 4 mg または 6 mg の毎週の注射と,プラセボとを比較した.心血管イベントのリスクはエフペグレナチドのほうが低かった.
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MRI 標的前立腺生検
MRI-Directed Prostate Biopsies人口ベースのスクリーニングにより,50 歳以上で PSA が 3 ng/mL 以上かつ MRI の結果が陰性の男性は生検を安全に回避できる可能性が示された.MRI の結果が陽性で MRI 標的生検および標準的な生検を受けた男性において,臨床的に重要な癌の検出率は標準的な生検群と同程度であったが,臨床的に重要でない癌の所見は MRI 群のほうが少なかった.
BRIEF REPORT
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ヒトパピローマウイルスに対する防御におけるナチュラルキラー細胞
NK Cells in Defense against HPVIL2RG に生殖細胞系列変異を有する若年男性.ヘルペス脳炎の既往があり,最近,ヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされた皮膚粘膜病変が複数現れた.治療抵抗性再発鼻腔扁平上皮癌も含まれた.同種造血細胞移植により,鼻腔癌をはじめとする HPV 病変が消失した.
REVIEW ARTICLE
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慢性髄膜炎
Chronic Meningitis慢性的な髄膜の炎症または感染症の原因と特徴は,急性髄膜炎とは異なる.評価は,サルコイドーシスなどの全身性疾患だけでなく,感染性・非感染性の傍髄膜病変の検索などを行う.髄膜生検が必要となる場合もある.
CLINICAL PROBLEM-SOLVING
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不十分なサポート
Inadequate Support71 歳の男性が,6 ヵ月前から下血,出血・挫傷傾向,ふらつきが続いているため,救急部を受診した.
Videos, Images, and Multimedia
IMAGES IN CLINICAL MEDICINE
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ロア糸状虫症
Loiasis36 歳の女性が,左眼瞼に虫のような形の構造体が動いていると訴え受診した(動画で示す).新鮮血の血液塗抹標本の顕微鏡検査で,動きの速い虫が認められ,ギムザ染色血液塗抹標本で,ロア糸状虫に一致するミクロフィラリアが確認された.
NEJM QUICK TAKE
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2 型糖尿病に対するエフペグレナチド
Efpeglenatide for Type 2 Diabetesエフペグレナチドは,エキセンジン-4 分子をベースとした,開発中のグルカゴン様ペプチド 1(GLP-1)受容体作動薬である.心血管イベントのリスクが高い 2 型糖尿病患者の心血管転帰と腎転帰に対する効果は不明である.新しい研究知見が短い動画にまとめられている.
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前立腺癌スクリーニングにおける MRI 標的生検
MRI-Targeted Biopsy in Prostate Cancer Screening前立腺特異抗原(PSA)検査と標準的な超音波ガイド下生検を用いる前立腺癌スクリーニングは,前立腺癌による死亡率を低下させるが,その一方で過剰診断,過剰治療,不必要な生検の頻度が高いなどの重大な限界がある.MRI を用いた標的生検により,診断精度が向上する可能性がある.新しい究知見が短い動画にまとめられている.
PERSPECTIVE
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医療を受ける権利を実現する
Realizing the Right to Health CareOctavio Gómez-Dantés が,人権の概念を,集団にとっての健康上の利益につなげることについて考察している.