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March 25, 1999 Vol. 340 No. 12

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胃癌における拡大リンパ節郭清
Extended Lymph-Node Dissection for Gastric Cancer

J.J. BONENKAMP, J. HERMANS, M. SASAKO, AND C.J.H. VAN DE VELDE

背景

胃癌の最良の治療は治療的切除であるが,この切除術では,日本の医学界が推奨しているような拡大(D2)リンパ節郭清を行うべきか,あるいは病巣付近に限局した(D1)リンパ節郭清を行うべきかについては明らかになっていない.そこで,われわれはオランダの 80 病院において,有病率,術後死亡率,長期生存率,および術後再発の累積リスクに関して,胃癌の D1 リンパ節郭清と D2 リンパ節郭清を比較する無作為試験を実施した.

方 法

本試験には,1989 年 8 月~1993 年 7 月までに,合計で 996 例の患者が組み入れられた.これらの患者の 711 例(D1 群が 380 例,D2 群が 331 例)が根治目的の治療に無作為に割り付けられ,残りの 285 例には緩和治療が行われた.試験の品質管理の手順には,手術室における指示および監督と,病理組織検査の結果のモニタリングも含まれていた.

結 果

D2 群の患者は,D1 群の患者よりも,有病率(43% 対 25%,p<0.001)と術後の死亡(10% 対 4%,p=0.004)が有意に高く,入院期間が有意に長かった(中央値,16 日 対 14 日;p<0.001).5 年生存率は 2 群で同程度であった:すなわち,D1 群が 45%,D2 群が 47%であった(差の 95%信頼区間,-9.6%~+5.6%).R0 切除術の患者(すなわち,顕微鏡検査の結果から癌の残存が認められなかった患者)では,術後に死亡した患者を除いた 5 年再発の累積リスクは,D1 郭清が 43%,D2 郭清が 37%であった(差の 95%信頼区間,-2.4%~+14.4%).

結 論

オランダ人の患者を対象とした今回の結果は,胃癌患者に対する D2 リンパ節郭清の日常的施行を支持するものではない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 908 - 14. )