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April 24, 1997 Vol. 336 No. 17

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冠動脈血流量に及ぼす心交感神経支配の効果
EFFECTS OF CARDIAC SYMPATHETIC INNERVATION ON CORONARY BLOOD FLOW

M.F. DI CARLI AND OTHERS

背景

冠動脈血流量を制御する心交感神経の役割については,議論が分かれている.われわれは,心遠心性交感神経シグナルが冠動脈血流量を制御する程度を明らかにしようと試みた.移植心臓における種々の交感神経再支配は,神経再支配されたり,神経除去された同一心臓の冠動脈領域におけるアドレナリン作動性刺激に対する血管運動反応を調べるモデルとなる.

方 法

われわれは,冠状動脈が正常で拒絶反応を認めない心臓移植レシピエント 14 人および正常被験者 8 人を調べた.ノルエピネフリン類似体である [11C]ヒドロキシエフェドリンによるポジトロン断層撮影法を用いて,交感神経支配を明らかにした.[13N]アンモニアを用いて,安静時,アデノシン誘発性血流増加時,そして寒冷昇圧試験誘発交感神経刺激に反応した場合の心筋血流量を測定した.

結 果

移植レシピエントでは,[11C]ヒドロキシエフェドリンの取込みは,左冠状動脈前下行枝支配領域 (平均値±SE,0.15±0.01) では,右冠状動脈支配領域 (0.07±0.01,p<0.001) または冠状動脈回旋枝支配領域 (0.09±0.01,p<0.001) より大きかった.基本血流量は,血流増加時の血流量の増加百分率と同様,3 領域すべてで同程度であった.しかし,血行力学および循環血中のカテコラミン濃度の変化は同程度であったものの,寒冷昇圧試験に反応した血流量の増加は,左冠状動脈前下行枝領域では (46±10%),右冠状動脈領域 (16±5%,p=0.01) または冠状動脈回旋枝領域 (23±6%,p=0.06) より高かった.正常被験者では,領域によるそのような差を認めなかった.

結 論

交感神経刺激に反応した冠状動脈血流量の増加は,心交感神経終末における領域内ノルエピネフリン濃度と相関した.これらの知見は,心アドレナリン作動性シグナルが心筋血流量の制御に重要な役割を果たしていることを示唆する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 1208 - 15. )