November 6, 1997 Vol. 337 No. 19
側頭動脈炎の診断におけるカラーデュプレックス超音波造影法
COLOR DUPLEX ULTRASONOGRAPHY IN THE DIAGNOSIS OF TEMPORAL ARTERITIS
W.A. SCHMIDT, H.E. KRAFT, K. VORPAHL, L. VÖLKER, AND E.J. GROMNICA-IHLE
側頭動脈炎の診断には,通常側頭動脈の生検を必要とする.われわれは,側頭動脈炎が疑われる患者におけるカラーデュプレックス超音波造影法の有用性を検討した.
このプロスペクティブ試験において,1994 年 1 月から 1996 年 10 月までのあいだにリウマチ科および眼科で診察を受け,活動型側頭動脈炎またはリウマチ性多発性筋痛が臨床的に疑われた患者全員を,カラーデュプレックス超音波造影法によって検査した.統一基準に従ってくだした最終診断は,側頭動脈炎が患者 30 人,このうち 21 人は生検によって確認した;リウマチ性多発性筋痛は 37 人;そして組織学的所見陰性で,側頭動脈炎またはリウマチ性多発性筋痛以外の診断がくだされたのは 15 人であった.われわれはまた,動脈炎患者と年齢および性別がマッチした対照患者 30 人を調べた.超音波試験を 2 回実施して生検の前に判読した;1 人の超音波診断医には臨床情報を知らせなかった.
側頭動脈炎の患者 30 人中 22 人(73%)では,超音波造影により側頭動脈の内腔周囲に暗い環が示された.この環は,コルチコステロイド治療により平均で 16 日後(範囲,7~56 日)に消失した.患者 24 人(80%)が側頭動脈部分の狭窄または閉塞を示し,患者 28 人(93%)が狭窄,閉塞,または環を示した.側頭動脈炎を有しない患者 82 人では環は確認されなかった;6 人(7%)が狭窄または閉塞を示した.超音波造影法によって確認された 3 種類の異常のそれぞれについて,評価者間の一致率は 95%以上であった.
側頭動脈炎の特徴的徴候は,カラーデュプレックス超音波造影法によって可視化が可能である.もっとも特徴的な徴候は暗い環で,これは動脈壁の浮腫による可能性がある.典型的な臨床徴候を示し,超音波造影で環を示す患者では,側頭動脈の生検を行わずに側頭動脈炎の診断をくだし,治療を開始することが可能となるかもしれない.