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December 25, 1997 Vol. 337 No. 26

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細菌性血管腫症–紫斑病患者におけるバルトネラ菌感染症の分子的疫学
MOLECULAR EPIDEMIOLOGY OF BARTONELLA INFECTIONS IN PATIENTS WITH BACILLARY ANGIOMATOSIS–PELIOSIS

J.E. KOEHLER AND OTHERS

背景

細菌性血管腫症および細菌性紫斑病は,バルトネルラ属の種への感染によって発現する血管増殖性症状であり,主にヒト免疫不全ウイルス感染患者に起る.Bartonella henselae および B. quintana の二つの種が細菌性血管腫症と関連することが示されているが,培養および種の特定はむずかしく,種特異的疾患特徴に関する系統的評価はほとんど行われていない.われわれは,8 年間に診察した,バルトネラ種への感染が分子技術によって確認され,細菌性血管腫症–紫斑病に一致する臨床病変を有する 49 人を調べた.

方 法

症例対照研究において,細菌性血管腫症–紫斑病患者と,マッチさせた対照者 96 人に,曝露に関する標準化した質問票による調査を行った.感染しているバルトネラ属の種は分子技術によって決定した.

結 果

細菌性血管腫症–紫斑病患者 49 人のうち,26 人(53%)が B. henselae に感染し,23人(47%)が B. quintana に感染していた.皮下病変および溶解性骨病変は,B. quintana と強く関連したが,肝紫斑病は,B. henselae のみと関連した.B. henselae 感染患者は,研究期間を通して同定され,ネコおよびノミへの曝露と疫学的に関連していたが(p≦0.004),B. quintana 感染患者は,クラスターを形成しており,低収入(p = 0.003),ホームレス(p = 0.004),シラミへの曝露(p = 0.03)によって特徴付けられた.マクロライド系抗生物質による治療歴は,いずれかの種への感染に対して防御効果があるように思われた.

結 論

細菌性血管腫症–紫斑病を引き起す細菌である B. henselae および B. quintana は,疫学的危険因子が異なり,また臓器指向性が異なる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 1876 - 83. )