February 4, 1999 Vol. 340 No. 5
右胸部誘導を用いた運動負荷心電図検査による冠動脈疾患の検出の向上
IMPROVED DETECTION OF CORONARY ARTERY DISEASE BY EXERCISE ELECTROCARDIOGRAPHY WITH THE USE OF RIGHT PRECORDIAL LEADS
A.P. MICHAELIDES AND OTHERS
運動負荷心電図検査は,冠動脈疾患の検出には不十分な検査である.そこで,われわれは,左右の胸部誘導を組み合せることによって,冠動脈疾患を検出するための非観血的な方法としての運動負荷試験の診断の正確度を向上させることを試みた.
トレッドミル運動負荷試験,タリウム 201 シンチグラフィ,および冠動脈造影法の検査を受けた年齢が 32~74 歳(平均 [±SD],52±8)までの 245 例の患者(218 例の男性と 27 例の女性)を対象として試験を行った.運動負荷試験中に,標準の 12 誘導と右胸部の 3 誘導(V3R,V4R,および V5R)で記録する心電図を各患者で測定したが,その結果はそれぞれの誘導法に分けて記録および解析した.
冠動脈造影法の検査結果からは,34 例の患者が正常な冠動脈,85 例が 1 枝障害,84 例が 2 枝障害,そして 42 例が 3 枝障害であった.標準の 12 誘導による運動負荷心電図,右胸部誘導を組み入れた運動負荷心電図検査,およびタリウム 201 シンチグラフィの感度は,1 枝障害の検出においてはそれぞれ 52%,89%,および 87%であった;2 枝障害の検出においては 71%,94%,96%;3 枝障害の検出においては 83%,95%,98%;何らかの冠動脈疾患の検出においては 66%,92%,93%.何らかの冠動脈疾患の検出におけるこれらの三つの方法の特異性は,それぞれ 88%,88%,および 82%であった.
運動負荷心電図検査において,標準の左胸部の 6 誘導に右胸部誘導を併用すると,冠動脈疾患の診断を目的とした運動負荷試験の感度が大きく向上する.