March 18, 1999 Vol. 340 No. 11
睡眠時無呼吸と交通事故のリスクの関連性
The Association between Sleep Apnea and the Risk of Traffic Accidents
J. TERÁN-SANTOS, A. JIMENEZ-GOMEZ, J. CORDERO-GUEVARA, AND THE COOPERATIVE GROUP BURGOS-SANTANDER
嗜眠状態と集中力の低下が,交通事故の一因になっている可能性が考えられる.
そこで,われわれは,睡眠時の無呼吸と交通事故のリスクとの関係についてケースコントロール調査を実施した.本試験の対象患者は,1995 年の 4月~12 月の期間に高速道路で交通事故にあって,スペインの Burgos または Santander の病院で緊急治療を受けた 102 例のドライバーであった.対照者は,同一市のプライマリケアセンターから無作為に選択した 152 例の患者で,対象患者と年齢および性別をマッチした.自宅における睡眠時無呼吸の患者のスクリーニングには呼吸の変化を記録する呼吸ポリグラフィーを使用し,診断の確認は従来のポリソムノグラフィーを用いて行った.無呼吸–低呼吸指数(無呼吸および呼吸低下のエピソードの総数を睡眠時間で除したもの)は,調査に参加した各患者について算出した.
本調査に参加した患者の平均年齢は 44 歳であり,77%が男性であった.睡眠時無呼吸が認められなかった患者と比較すると,無呼吸–低呼吸指数が 10 以上の患者が交通事故にあうオッズ比は 6.3(95%信頼区間,2.4~16.2)であった.この関係は,飲酒,視覚・屈折障害,body-mass index,運転年数,年齢,交通事故歴,嗜眠を引き起す薬剤の服用,睡眠スケジュールなどの考えられる交絡因子で補正しても認められた.無呼吸–低呼吸指数が 10 以上の被験者については,事故当日に酒を飲まなかった被験者よりも酒を飲んだ被験者で交通事故のリスクが高かった.
無呼吸–低呼吸指数で評価した睡眠時無呼吸と交通事故のリスクとのあいだには強い関連性が認められる.