October 7, 1999 Vol. 341 No. 15
特発性好酸球増加症におけるインターロイキン 5 産生 T 細胞異常クローン
Abnormal Clones of T Cells Producing Interleukin-5 in Idiopathic Eosinophilia
H.-U. SIMON, S.G. PLOTZ, R. DUMMER, AND K. BLASER
持続性の好酸球増加および好酸球増加症候群の原因については解明されていない.好酸球増加症候群の患者のなかには,異常 T 細胞クローンが,好酸球の増殖や分化に必要なサイトカインであるインターロイキン 5(IL-5)を大量に産生している患者がいるということが,最近の研究によって示されている.今回,われわれは,特発性好酸球増加症の患者から採取した T 細胞を用いて,T 細胞の表面マーカー,再構成した T 細胞受容体の遺伝子,および in vitro でのサイトカインの産生に関して検討を行った.
T 細胞の表面分子の発現は,フローサイトメトリーで測定した.サイトカインの発現は,酵素免疫抗体法,フローサイトメトリー,および免疫組織化学法によって測定した.リンパ球における T 細胞受容体の優位の(クローン性の)再構成の同定には,サザンブロット法(β鎖)およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法(γ鎖)を標準プロトコールに従って実施した.
特発性好酸球増加症の 60 例の患者のうち,16 例に免疫表現型が異常な末梢血液中の T 細胞が認められた.各患者の異常免疫表現型はそれぞれ独自のものであった.また,これら 16 例の患者のうち 8 例については,T 細胞受容体のクローン性再構成の知見が得られた.ほとんどの場合,異常 T 細胞は T 細胞の活性化に関連している表面タンパク(インターロイキン 2 [IL-2] 受容体のα鎖と HLA-DR 抗原)を大量に発現していた.さらに in vitro で異常な T 細胞は大量のインターロイキン 5 を産生した.
特発性好酸球増加症の患者のなかには,インターロイキン 5 を産生する異常な T 細胞のクローン集団が出現する患者がいる.