November 18, 1999 Vol. 341 No. 21
最近の拳銃購入者における死亡者数
Mortality among Recent Purchasers of Handguns
G.J. WINTEMUTE, C.A. PARHAM, J.J. BEAUMONT, M. WRIGHT, AND C. DRAKE
拳銃を所有することによって,事故死のリスクが上昇するのか,あるいは低下するのかということについては,多くの論争が続いている.
われわれは住民ベースのコホート研究を行い,1991 年にカリフォルニア州で拳銃を購入した 238,292 人における死亡率と,カリフォルニア州の一般成人集団の死亡率を比較した.観察期間は,拳銃の購入日(購入申請後 15 日目)に開始し,1996 年 12 月 31 日に終了した.標準化死亡比(拳銃購入者における死亡者数の実測値と,カリフォルニア州成人の年齢別および性別死亡率に基づく死亡者数の期待値の比)が,転帰の主要評価尺度であった.
拳銃購入後 1 年目まででは,拳銃購入者の死因の第一位は自殺であり,全死亡の 24.5%,21~44 歳までの女性の死亡の 51.9%を占めていた.拳銃購入者では,あらゆる方法による自殺のリスクが上昇していたが(標準化死亡比,4.31),これは,小火器による自殺のリスクの上昇(標準化死亡比,7.12)に完全に帰因するものと考えられた.拳銃購入後 1 週間目まででは,購入者の小火器による自殺率は(100,000 人年当り 644 件),一般集団の補正した小火器による自殺率の 57 倍も高かった.女性では,拳銃購入後 1 年目までのあらゆる理由による実死亡者数が,期待死亡者数よりも多く(標準化死亡比,1.09),これらの女性における全死亡者数の増加は,小火器による自殺者数が極端に多かったことによるものであると考えられた.一般集団と比較すると,拳銃購入者は,6 年間におよぶ研究期間の全期間にわたって,小火器による自殺のリスクが上昇したままであり,このコホートの女性における上昇したリスク(標準化死亡比,15.50)は,男性のリスク(標準化死亡比,3.23)よりも大きいままであった.小火器を用いた殺人行為による死亡のリスクは,女性では上昇していたが(拳銃購入後 1 年目までの標準化死亡比,2.20;6 年目までの標準化死亡比,2.01),男性では低かった(1 年目までの標準化死亡比,0.84;6 年目までの標準化死亡比,0.79).
拳銃の購入は,小火器による自殺およびすべてのリスクの顕著な上昇に関連している.小火器による自殺のリスクの上昇は,拳銃購入後 1 週間目までに明らかになり,少なくとも 6 年目までは持続している.