March 12, 2009 Vol. 360 No. 11
メラミン汚染粉ミルクと乳幼児における尿路結石症
Melamine-Contaminated Powdered Formula and Urolithiasis in Young Children
N. Guan and Others
最近中国で被害が拡大しているメラミン汚染粉ミルクは,尿路結石の発症と関連しているが,臨床症状や素因については十分に明らかにされていない.
メラミン曝露歴,尿路結石の症状および素因についてスクリーニングを受けた生後 36 ヵ月までの乳幼児の保護者を対象に質問票調査を行った.さらに,尿検査,腎機能・肝機能検査,生化学マーカーとカルシウム/クレアチニン比の尿検査,超音波検査を実施した.乳幼児用粉ミルクを,メラミンの含有量により大量(>500 ppm),中等量(<150 ppm),非汚染(0 ppm)に分類した.150~500 ppm のメラミンを含有する粉ミルクはなかった.
589 人中 421 人がメラミン汚染粉ミルクを摂取していた.50 例に尿路結石が認められたが,このうち 8 例はメラミン汚染粉ミルクを摂取していなかった.112 人に結石が疑われ,427 人には結石は認められなかった.結石を有する児のうち,5.9%に血尿,2.9%に白血球尿が認められ,この割合には尿路結石が疑われる児や尿路結石が認められない児と比較して有意差はみられなかった.結石を有する 22 例で検査した血清クレアチニン値,尿素窒素値,アラニンアミノトランスフェラーゼ値は正常であった.結石を有し,糸球体機能の尿マーカーを測定した 41 例中 4 例(9.8%)に異常所見を認めたが,尿細管機能障害を呈する例はなかった.大量メラミン含有粉ミルクを摂取した児が尿路結石を有する確率は,非汚染粉ミルクを摂取した児の 7.0 倍高かった.早産児は,結石を有する確率が正期産児の 4.5 倍高かった.
未熟児であることと,メラミン汚染粉ミルクを摂取したことが尿路結石の発症と関連していた.患児には尿路結石症の典型的な徴候や症状は認められなかった.
本論文(10.1056/NEJMoa0809550)は,2009 年 2 月 4 日に NEJM.org で発表された.