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February 5, 2009 Vol. 360 No. 6

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閉経後女性におけるエストロゲン+プロゲスチン使用後の乳癌
Breast Cancer after Use of Estrogen plus Progestin in Postmenopausal Women

R.T. Chlebowski and Others

背景

女性健康イニシアチブ(Women's Health Initiative:WHI)のエストロゲンとプロゲスチンに関する試験の報告が 2002 年に発表されて以来,米国における更年期ホルモン療法の使用は大幅に減少した.その後,乳癌の発生率も低下したことから,ホルモン療法と乳癌との因果関係が示唆された.しかし,乳癌が減少した原因については依然として議論がある.

方 法

WHI の無作為化臨床試験(結合型ウマエストロゲン 0.625 mg/日+メドロキシプロゲステロン酢酸エステル 2.5 mg/日とプラセボの比較)の結果を分析し,WHI 観察研究コホート集団における乳癌診断の経時的動向を検討した.乳癌の危険因子,マンモグラフィーの受診回数,特定の期間における乳癌の発生率を,ホルモン配合剤の使用と関連付けて評価した.

結 果

臨床試験の最初の 2 年間は,エストロゲン+プロゲスチン群のほうがプラセボ群より乳癌の診断数が少なかったが,5.6 年の介入期間中に増加した.このリスクの増加は,両群が試験薬の服用を中止した後,マンモグラフィーの受診回数が同等であるにもかかわらず急速に減少した.観察研究での乳癌の発生率は,最初はホルモン療法群でプラセボ群の約 2 倍であった.しかしこの差は約 2 年で急速に縮小し,ホルモン配合剤の使用の経年的減少と一致していた.この期間中,両群間のマンモグラフィーの受診回数の差に変化はなかった.

結 論

エストロゲン+プロゲスチンの使用に関連して上昇した乳癌のリスクは,ホルモン併用療法の中止後まもなく顕著に低下し,マンモグラフィーの受診回数の変化とは関連していなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 573 - 87. )