The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

February 12, 2009 Vol. 360 No. 7

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

禁煙に対する金銭的インセンティブに関する無作為化比較研究
A Randomized, Controlled Trial of Financial Incentives for Smoking Cessation

K.G. Volpp and Others

背景

喫煙は,米国における早期死亡の主要な原因であり,予防可能な原因でもある.職場環境での禁煙に対する金銭的インセンティブに関する先行研究では,このようなインセンティブが禁煙率に有意な影響を及ぼすことは示されていないが,いずれの研究も検出力が低く,また用いられたインセンティブが不十分であった可能性がある.

方 法

米国に拠点をおく多国籍企業の被雇用者 878 人を,禁煙プログラムに関する情報を与える群(442 人)と,プログラムに関する情報に加えて金銭的インセンティブを与える群(436 人)に無作為に割り付けた.金銭的インセンティブの内容は,禁煙プログラム完了に対して 100 ドル,登録後 6 ヵ月以内に生化学検査で禁煙が確認された場合に 250 ドル,最初の禁煙が確認されてからさらに 6 ヵ月間の禁煙が生化学検査で確認された場合に 400 ドル支払うものとした.個々の参加者を,職場環境,ヘビースモーカーであるかどうか,および収入によって層別化した.主要エンドポイントは,最初の禁煙が報告された時点が 3 ヵ月後であったか 6 ヵ月後であったかによって,それぞれ登録から 9 ヵ月後,12 ヵ月後の禁煙とした.副次的エンドポイントは,登録後 6 ヵ月以内の禁煙と,禁煙プログラムへの参加率および完了率とした.

結 果

インセンティブ群では情報のみの群に比べ,登録から 9 ヵ月後・12 ヵ月後の禁煙率(14.7% 対 5.0%,P<0.001)も,15 ヵ月後・18 ヵ月後の禁煙率(9.4% 対 3.6%,P<0.001)も有意に高かった.またインセンティブ群では,禁煙プログラムへの登録率(15.4% 対 5.4%,P<0.001),禁煙プログラムの完了率(10.8% 対 2.5%,P<0.001),登録後 6 ヵ月以内の禁煙率(20.9% 対 11.8%,P<0.001)も有意に高かった.

結 論

単一の大企業の被雇用者を対象としたこの研究では,禁煙に対する金銭的インセンティブによって禁煙率が有意に上昇した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00128375)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 699 - 709. )