September 17, 2009 Vol. 361 No. 12
進行性基底細胞癌におけるヘッジホッグ経路の阻害
Inhibition of the Hedgehog Pathway in Advanced Basal-Cell Carcinoma
D.D. Von Hoff and Others
基底細胞癌では,ヘッジホッグ経路の遺伝子,主に patched homologue 1 をコードする遺伝子 PTCH1 や smoothened homologue をコードする遺伝子 SMO に変異が生じる.第 1 相臨床試験において,SMO の低分子阻害薬 GDC-0449 の安全性と薬物動態,および GDC-0449 に対する転移性基底細胞癌・局所進行基底細胞癌の反応を評価した.
転移性基底細胞癌または局所進行基底細胞癌の患者 33 例を選択し,GDC-0449 を次の 3 つのいずれかの用量で経口投与した;150 mg/日 17 例,270 mg/日 15 例,540 mg/日 1 例.腫瘍反応は,固形癌治療効果判定基準(RECIST),理学所見,もしくはその両方を用いて評価した.腫瘍の分子的特徴についても調査した.
治療期間の中央値は 9.8 ヵ月であった.33 例中 18 例で GDC-0449 の客観的効果が認められた.その評価法の内訳は,画像診断 7 例,理学所見 10 例,その両方 1 例であった.効果が認められた患者の内訳は,完全寛解 2 例,部分寛解 16 例であった.残り 15 例の内訳は,安定 11 例,進行 4 例であった.試験薬と関連している可能性があると考えられたグレード 3 の有害事象は 6 例で 8 件認められ,内訳は疲労 4 件,低ナトリウム血症 2 件,筋痙攣 1 件,心房細動 1 件であった.グレード 4 の有害事象として無症候性低ナトリウム血症が 1 件認められたが,GDC-0449 に関連するものではないと判断された.1 例が有害事象のために試験を中止した.治療効果が認められた腫瘍では,ヘッジホッグシグナル伝達の修飾を示す徴候が認められた.
ヘッジホッグ経路を標的とする経口低分子薬 GDC-0449 は,転移性基底細胞癌・局所進行基底細胞癌に対して抗腫瘍活性を有するようである.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00607724)