October 1, 2009 Vol. 361 No. 14
入院手術に関連した院内死亡率のばらつき
Variation in Hospital Mortality Associated with Inpatient Surgery
A.A. Ghaferi, J.D. Birkmeyer, and J.B. Dimick
入院手術に関連した院内死亡率には,大きなばらつきがある.目下,保険支払者や規制当局は術後合併症の発生率を低下させることに注目しているが,それが死亡率を低下させる方法の 1 つとなる可能性がある.しかし,合併症が発生した場合には,効果的な管理を行うことも同等に重要であると考えられる.
米国外科学会の手術の質改善プログラム(American College of Surgeons National Surgical Quality Improvement Program)のデータを用いて,2005~07 年に一般外科・血管外科の入院手術を受けた患者 84,730 例を検討した.まず,病院をリスク補正後の全死亡率で順位付けし,5 つの群に分けた.全死亡率の五分位群別に,全合併症発生率,重大な合併症の発生率,重大な合併症を発症した患者における死亡率を評価した.
五分位群ごとの死亡率は大きなばらつきを示し,死亡率が非常に低かった病院群では 3.5%,非常に高かった病院群では 6.9%であった.全合併症発生率は,死亡率が非常に高かった病院群と非常に低かった病院群で同等であり(それぞれ 24.6%,26.9%),重大な合併症の発生率も同等であった(それぞれ 18.2%,16.2%).個々の合併症の発生率に五分位群間で有意な差はみられなかった.これに対し,重大な合併症患者における死亡率は,全死亡率が非常に高かった病院群は全死亡率が非常に低かった病院群のほぼ 2 倍であった(21.4% 対 12.5%,P<0.001).重大な合併症患者における死亡率の差は,個々の手術に伴う全死亡率のばらつきの主な決定因子でもあった.
入院手術に関連した死亡率を低下させるには,まず合併症を防ぐための取組みを行うことに加えて,合併症が発生した場合の速やかな発見と管理により注意を向ける必要がある.