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November 12, 2009 Vol. 361 No. 20

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オーストラリア・ニュージーランドにおける 2009 H1N1 インフルエンザと救命集中治療
Critical Care Services and 2009 H1N1 Influenza in Australia and New Zealand

The ANZIC Influenza Investigators

背景

2009 パンデミックインフルエンザ A(H1N1)ウイルス感染に対する,北半球の先進国における冬季の治療計画は,類似した医療体制からの情報が不足していることが障壁となっている.

方 法

南半球の 2009 年冬季に,オーストラリア・ニュージーランドの全集中治療室(ICU)において発端コホート研究を行った.2009 H1N1 ウイルス感染による,ICU 入室数,ICU 滞在日数,人工換気を受けた日数を,住民 100 万人あたりで算出した.患者の人口統計学的特性と臨床像,治療と転帰に関するデータを収集した.

結 果

2009 年 6 月 1 日~8 月 31 日に,オーストラリアまたはニュージーランドで,2009 H1N1 ウイルス感染が確認され ICU に入室したのは,722 例(28.7 例/住民 100 万人,95%信頼区間 [CI] 26.5~30.8)であった.722 例のうち,669 例(92.7%)が 65 歳未満で,66 例(9.1%)が妊娠女性であった.体格指数(BMI,体重 [kg]/身長 [m2])に関するデータが入手できた成人 601 例のうち,172 例(28.6%)が BMI 35 以上であった.患者の ICU 滞在日数は計 8,815 床・日(350 床・日/住民 100 万人)であった.ICU での治療期間の中央値は,7.0 日(四分位範囲 2.7~13.4)であった.人工換気に関するデータが入手できた 706 例のうち,456 例(64.6%)が中央値 8 日間(四分位範囲 4~16)の人工換気を受けた.ICU ベッドを占める割合は,1 日あたり最大で 7.4 床/住民 100 万人であった(95% CI 6.3~8.5).2009 年 9 月 7 日時点で,722 例のうち 103 例が死亡し(14.3%,95% CI 11.7~16.9),114 例(15.8%)が依然入院中であった.

結 論

2009 H1N1 ウイルスは,オーストラリア・ニュージーランドの冬季に ICU 診療に大きな影響を及ぼした.このデータは,北半球における冬季の治療計画の一助になると考えられる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 1925 - 34. )