December 31, 2009 Vol. 361 No. 27
退院計画と再入院率に関するデータの公開
Public Reporting of Discharge Planning and Rates of Readmissions
A.K. Jha, E.J. Orav, and A.M. Epstein
再入院が減少すれば,医療の質の向上と費用削減につながる可能性がある.メディケア・メディケイドサービスセンター(Centers for Medicare and Medicaid Services)は,退院計画の実施状況を評価しそのデータを公開する,全米規模での取組みを開始した.しかし,米国の病院が現行の基準下でどのような成績を収めているのか,そして,成績がよりよい場合にはどのような要因があるのか,再入院率に低下はみられるのかといった点については,ほとんど明らかになっていない.
退院計画に関する成績を,うっ血性心不全患者に対して出された退院指示に関するカルテ内容の妥当性と,患者報告による評価の 2 つの指標をもとに検討した.これらの成績と,うっ血性心不全または肺炎による再入院率との関連を検討した.
カルテに基づく指標での成績と,患者評価に基づく指標での成績の相関は弱かった(r=0.05,P<0.001).規模が大きい病院ほど,カルテに基づく指標での成績は良好であったが,規模の小さい病院・看護師の配置数が多い病院ほど,患者評価に基づく指標での成績は良好であった.カルテに基づく指標での成績とうっ血性心不全患者の再入院率に関連はみられず(成績が最高四分位群の病院 23.7% 対 最低四分位群の病院 23.5%,P=0.54),患者評価に基づく指標での成績とうっ血性心不全による再入院率との関連(成績が最高四分位群の病院 22.4% 対 最低四分位群の病院 24.7%,P<0.001)も,患者評価に基づく指標での成績と肺炎による再入院率との関連(17.5% 対 19.5%,P<0.001)も,ごくわずかであった.
これらの結果から,退院計画に関するデータを収集し公開するという現在の取組みによって,不必要な再入院が大幅に減少する可能性は低いことが示唆される.