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March 1, 2018 Vol. 378 No. 9

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敗血症性ショックの成人患者に対するヒドロコルチゾンとフルドロコルチゾンの併用
Hydrocortisone plus Fludrocortisone for Adults with Septic Shock

D. Annane and Others

背景

敗血症性ショックは,感染に対する宿主反応の調節不全を特徴とし,循環異常,細胞異常,代謝異常をもたらす.ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンによる治療,またはドロトレコジンα(活性型)(drotrecogin alfa [activated])による治療は,宿主反応を調節できることから,敗血症性ショック患者の臨床転帰を改善するという仮説を立てた.

方 法

2×2 要因デザインの多施設共同二重盲検無作為化試験において,ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン療法,ドロトレコジンα(活性型)単独,これら 3 剤の併用,各剤にマッチさせたプラセボの効果を評価した.90 日全死因死亡率を主要評価項目とした.副次的評価項目は,集中治療室(ICU)退室時・退院時・28 日時点・180 日時点の死亡率と,生存例における昇圧薬非使用日数・人工呼吸器非装着日数・臓器不全非発生日数とした.ドロトレコジンα(活性型)が市場から撤退したあとは,試験を 2 群並行デザインで継続した.解析では,ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンを投与した例と両剤を投与しなかった例(プラセボ群)とを比較した.

結 果

試験に組み入れた 1,241 例のうち,90 日死亡率はヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群 43.0%(614 例中 264 例),プラセボ群 49.1%(627 例中 308 例)であった(P=0.03).ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群の死亡の相対リスクは 0.88(95%信頼区間 0.78~0.99)であった.ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群ではプラセボ群よりも,ICU 退室時の死亡率(35.4% 対 41.0%,P=0.04),退院時の死亡率(39.0% 対 45.3%,P=0.02),180 日死亡率(46.6% 対 52.5%,P=0.04)が有意に低かったが,28 日死亡率(33.7%と 38.9%,P=0.06)に有意差は認められなかった.28 日目までの昇圧薬非使用日数は,ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群のほうがプラセボ群よりも有意に多く(17 日 対 15 日,P<0.001),臓器不全非発生日数もヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群のほうが有意に多かった(14 日 対 12 日,P=0.003).人工呼吸器非装着日数は両群で同程度であった(ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群 11 日とプラセボ群 10 日,P=0.07).重篤な有害事象の発現率に群間で有意差は認められなかったが,高血糖の頻度はヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群のほうが高かった.

結 論

敗血症性ショック患者を対象とした試験において,90 日全死因死亡率は,ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンを投与した例のほうが,プラセボを投与した例よりも低かった.(フランス社会保健省 臨床研究病院プログラム 2007 から研究助成を受けた.APROCCHSS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00625209)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 809 - 18. )