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January 3, 2019 Vol. 380 No. 1

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高トリグリセリド血症に対するイコサペント酸エチルによる心血管リスクの低減
Cardiovascular Risk Reduction with Icosapent Ethyl for Hypertriglyceridemia

D.L. Bhatt and Others

背景

トリグリセリド高値の患者は虚血性イベントのリスクが高い.高純度エイコサペンタエン酸エチルエステルであるイコサペント酸エチルはトリグリセリド値を低下させるが,虚血性イベントに及ぼす影響を明らかにするためのデータが必要である.

方 法

心血管疾患を有する患者,または糖尿病と他の危険因子を有する患者で,スタチン療法を受けており,空腹時トリグリセリド値 135~499 mg/dL(1.52~5.63 mmol/L),低比重リポ蛋白コレステロール値 41~100 mg/dL(1.06~2.59 mmol/L)の例を対象に,多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.患者を,イコサペント酸エチル 2 g を 1 日 2 回(1 日量 4 g)投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要評価項目は,心血管死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,冠血行再建,不安定狭心症の複合とした.主な副次的評価項目は,心血管死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中の複合とした.

結 果

8,179 例を登録し(70.7%は心血管イベントの二次予防目的),中央値 4.9 年間追跡した.主要評価項目イベントは,イコサペント酸エチル群の 17.2%で発生したのに対し,プラセボ群では 22.0%であり(ハザード比 0.75,95%信頼区間 [CI] 0.68~0.83,P<0.001),対応する主な副次的評価項目の発生率はそれぞれ 11.2%と 14.8%であった(ハザード比 0.74,95% CI 0.65~0.83,P<0.001).イコサペント酸エチル群のほうがプラセボ群よりも,事前に規定した階層的手法で評価した,追加の虚血性イベント評価項目の発生率,たとえば心血管死亡率(4.3% 対 5.2%,ハザード比 0.80,95% CI 0.66~0.98,P=0.03)などが有意に低かった.心房細動や心房粗動による入院の割合は,イコサペント酸エチル群のほうがプラセボ群よりも高かった(3.1% 対 2.1%,P=0.004).重篤な出血イベントは,イコサペント酸エチル群の 2.7%とプラセボ群の 2.1%で発生した(P=0.06).

結 論

スタチンを使用していてもトリグリセリド高値の患者において,心血管死亡などの虚血性イベントのリスクは,イコサペント酸エチル 2 g を 1 日 2 回投与した例のほうが,プラセボ投与例よりも有意に低かった.(Amarin Pharma 社から研究助成を受けた.REDUCE-IT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01492361)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 11 - 22. )