April 18, 2019 Vol. 380 No. 16
メディケア診療報酬体系における外科手術の評価の正確性
Accuracy of Valuations of Surgical Procedures in the Medicare Fee Schedule
D.C. Chan, J. Huynh, and D.M. Studdert
米国医師会の相対価値尺度改訂委員会(RUC)は,医師への償還の決定において中心的役割を果たしている.RUC の役割と成績は批判され続けているが,実証的な評価はほとんど行われていない.
2005~15 年に行われた,施行頻度の高い 293 の外科手技に対する評価の正確性を解析した.RUC による手術時間の推定値と, 米国外科学会(ACS)の全米手術の質改善プログラム(NSQIP)が管理する臨床登録から算出した,同一手術の「基準」時間とを比較した.不正確性を明らかにし,医師の収入に対する影響を定量化し,再評価によってそれらが是正されたかどうかを検討した.
RUC が 108 件の評価を行った時点で,RUC による推定時間と基準時間との絶対差の平均は 18.5 分であり,RUC による推定時間の 19.8%に相当した.しかし,全体的に RUC による推定時間は,基準時間と比較して系統的に短かったり長かったりすることはなかった(β0.97,95%信頼区間 0.94~1.01,P=0.10).この解析から,整形外科医と泌尿器科医への支払額は,基準時間を用いた場合に支払われたはずの報酬額よりも多かった(2011~15 年のメディケア償還において,それぞれ 1 億 6,000 万ドルと 4,000 万ドル多かった)のに対し,心臓胸部外科医,脳神経外科医,血管外科医への支払額は少なかった(それぞれ 1 億 3,000 万ドル,6,000 万ドル,3,000 万ドル少なかった)ことが示唆された.RUC による推定時間の正確性は,RUC による再評価の 47%で改善し,27%で悪化し,25%では変化がなかった.(割合は丸めたため合計が 100 にならない.)
施行頻度の高い手術の解析において,RUC により推定された手術時間と,手術登録に記録された同一手技の時間の絶対差は大きいことが判明したが,RUC が時間を過小評価あるいは過大評価していることはなかった.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.)