The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

Share

RSS

日本語アブストラクト

May 9, 2019 Vol. 380 No. 19

健常ボランティアにおける抗体ベースのチカグレロル中和薬
Antibody-Based Ticagrelor Reversal Agent in Healthy Volunteers

D.L. Bhatt and Others

背景

チカグレロルは,急性冠症候群患者または心筋梗塞の既往がある患者の虚血性イベントのリスクを低下させるためにアスピリンと併用される経口 P2Y12 阻害薬である.他の抗血小板薬と同様に,チカグレロルには特発性の大出血や緊急の侵襲的手技に伴う出血の懸念がある.チカグレロルの抗血小板作用は血小板輸血で中和することができない.速効性のある中和薬が有効であると考えられる.

方 法

無作為化二重盲検プラセボ対照第 1 相試験で,チカグレロルと高い親和性で結合するモノクローナル抗体フラグメント PB2452 の静脈内投与を,チカグレロルの中和薬として評価した.健常ボランティアの血小板機能を 48 時間のチカグレロル前投与の前後に評価し,PB2452 またはプラセボ投与後に再度評価した.血小板機能の評価には,透過光血小板凝集検査法,血小板反応性に関するポイントオブケア P2Y12 検査,血管拡張因子刺激リン酸化蛋白アッセイを用いた.

結 果

無作為化された 64 例のうち,48 例が PB2452 群,16 例がプラセボ群に割り付けられた.48 時間のチカグレロル前投与の後に,血小板凝集は約 80%抑制された.PB2452 を初回静脈内ボーラス投与後に長時間投与(8,12,16 時間)したことは,プラセボよりも,複数のアッセイで評価した血小板機能の増進が有意に大きいことに関連した.チカグレロルの中和は,PB2452 開始 5 分以内に認められ,20 時間を超えて持続した(すべてのアッセイの全測定時点における Bonferroni 補正後の P<0.001).投与中止後,血小板活性のリバウンドを示す所見は認められなかった.試験薬に関連する有害事象は,主に注入部位に関するものであった.

結 論

健常ボランティアにおいて,チカグレロルの特異的中和薬 PB2452 の投与により,複数のアッセイで評価したチカグレロルの抗血小板作用が迅速かつ持続的に中和された.(フェイズバイオファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03492385)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 1825 - 33. )