妊娠初期に出血をみた女性に対するプロゲステロンの無作為化試験
A Randomized Trial of Progesterone in Women with Bleeding in Early Pregnancy
A. Coomarasamy and Others
妊娠初期の出血は妊娠喪失と強く関連している.プロゲステロンは妊娠の維持に不可欠である.複数の小規模試験から,プロゲステロン療法により,妊娠初期に出血をみた女性の妊娠転帰が改善する可能性が示唆されている.
妊娠初期に性器出血をみた女性を対象とする多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行い,プロゲステロンとプラセボとを比較評価した.対象は,出血が生じた時点から妊娠 16 週まで,プロゲステロン 400 mg を含有する腟坐剤の投与を 1 日 2 回受ける群,またはマッチさせたプラセボの投与を 1 日 2 回受ける群に無作為に割り付けられた.主要転帰は妊娠 34 週以降の生児出生(生産率)とした.主要解析は,主要転帰に関するデータを入手しえた参加者全例を対象に行った.主要転帰の感度分析は,全例を対象に,欠損データを補完する多重代入法を用いて行った.
英国の 48 病院で募集した 4,153 例を,プロゲステロン群(2,079 例)とプラセボ群(2,074 例)に無作為に割り付けた.主要転帰に関するデータを入手しえた割合は 97%(4,153 例中 4,038 例)であった.妊娠 34 週以降の生産率はプロゲステロン群 75%(2,025 例中 1,513 例),プラセボ群 72%(2,013 例中 1,459 例)であった(相対率 1.03,95%信頼区間 [CI] 1.00~1.07,P=0.08).主要転帰の欠損データを補完した感度分析では,同様の結果となった(相対率 1.03,95% CI 1.00~1.07,P=0.08).有害事象の発現率に群間で有意差は認められなかった.
妊娠初期に出血をみた女性のうち,妊娠第 1 三半期にプロゲステロン療法を行った女性の生産率は,プラセボ投与を行った女性と比較して有意には高くならなかった.(英国国立衛生研究所 医療技術評価プログラムから研究助成を受けた.PRISM 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN14163439)