The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

May 9, 2019 Vol. 380 No. 19

ニパウイルスの伝播 ― バングラデシュにおける 14 年間の調査
Transmission of Nipah Virus — 14 Years of Investigations in Bangladesh

B. Nikolay and Others

背景

ニパウイルスは,ヒトのあいだで伝播しうる毒性の高い人獣共通病原体である.ヒト–ヒト伝播のパターンを理解することは,有効な介入をデザインするうえで重要である.

方 法

バングラデシュで,2001 年 4 月~2014 年 4 月の集団発生の調査中に同定されたすべてのニパウイルス症例のデータを用いて,その後の伝播に関連する患者の特性と,患者に接触した人の感染リスクに関連する因子を検討した.

結 果

248 例のニパウイルス症例が同定された.82 例はヒト–ヒト伝播によって引き起こされたものであり,再生産数(1 患者あたりの二次感染者数の平均)は 0.33(95% 信頼区間 [CI] 0.19~0.59)であった.再生産数の予測値は患者の年齢とともに上昇し,呼吸困難を呈した 45 歳以上の患者でもっとも高かった(1.1,95% CI 0.4~3.2).呼吸困難を呈しなかった患者が接触者に感染させるリスクは,ほかの患者の 0.05 倍(95% CI 0.01~0.3)であった.無症状の接触者 1,863 人の血清学的検査で,感染は検出されなかった.患者の配偶者が感染する頻度(56 例中 8 例 [14%])は,他の近親者(547 例中 7 例 [1.3%])やその他の接触者(1,996 例中 18 例 [0.9%])よりも高かった.感染のリスクは接触者への曝露時間が長くなるほど大きくなり(曝露 1 時間以下に対する 48 時間超の補正オッズ比 13,95% CI 2.6~62),体液への曝露によっても大きくなった(補正オッズ比 4.3,95% CI 1.6~11).

結 論

年齢の高さと呼吸器症状がニパウイルスの感染性の指標であった.ヒト–ヒト伝播を抑制するための介入は,体液への曝露を減らすことを目標とすべきである.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 1804 - 14. )