The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

May 16, 2019 Vol. 380 No. 20

塞栓源不明の脳塞栓症発症後の再発予防のためのダビガトラン
Dabigatran for Prevention of Stroke after Embolic Stroke of Undetermined Source

H.-C. Diener and Others

背景

脳梗塞の 20~30%は潜因性脳梗塞であり,潜因性脳梗塞のほとんどは塞栓性,かつ塞栓源不明と考えられている.以前の無作為化試験で,塞栓源不明の脳塞栓症が原因と推定される脳梗塞の発症後の再発予防において,リバーロキサバンの有効性はアスピリンと同程度であることが示された.このタイプの脳梗塞の再発予防にダビガトランが有効かどうかは明らかでなかった.

方 法

塞栓源不明の脳塞栓症を発症した患者を対象とした多施設共同無作為化二重盲検試験で,ダビガトラン 150 mg または 110 mg の 1 日 2 回投与と,アスピリン 100 mg の 1 日 1 回投与とを比較した.主要転帰は脳梗塞の再発とした.主要安全性転帰は大出血とした.

結 果

564 施設で 5,390 例が組み入れられ,ダビガトラン群(2,695 例)とアスピリン群(2,695 例)に無作為に割り付けられた.中央値 19 ヵ月の追跡期間中に,脳梗塞の再発はダビガトラン群の 177 例(6.6%,年間 4.1%)とアスピリン群の 207 例(7.7%,年間 4.8%)に発生した(ハザード比 0.85,95%信頼区間 [CI] 0.69~1.03,P=0.10).脳梗塞はダビガトラン群の 172 例(年間 4.0%)とアスピリン群の 203 例(年間 4.7%)に発生した(ハザード比 0.84,95%信頼区間 [CI] 0.68~1.03).大出血はダビガトラン群の 77 例(年間 1.7%)とアスピリン群の 64 例(年間 1.4%)に発生した(ハザード比 1.19,95% CI 0.85~1.66).大出血ではないが臨床的に重要な出血はダビガトラン群の 70 例(年間 1.6%)とアスピリン群の 41 例(年間 0.9%)に発生した.

結 論

発症後まもない塞栓源不明の脳塞栓症患者における脳梗塞の再発予防において,ダビガトランのアスピリンに対する優越性は示されなかった.ダビガトラン群における大出血の発生率はアスピリン群よりも高くなかったが,大出血ではないが臨床的に重要な出血の発生数はダビガトラン群のほうが多かった.(ベーリンガーインゲルハイム社から研究助成を受けた.RE-SPECT ESUS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02239120)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 1906 - 17. )