The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

January 24, 2019 Vol. 380 No. 4

2 型糖尿病におけるダパグリフロジンと心血管転帰
Dapagliflozin and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes

S.D. Wiviott and Others

背景

ダパグリフロジンは,2 型糖尿病患者の糖の尿中排泄を促進するナトリウム–グルコース共輸送体 2 の選択的阻害薬であるが,その心血管安全性プロファイルは明らかにされていない.

方 法

2 型糖尿病患者でアテローム動脈硬化性心血管疾患またはそのリスクを有する例を,ダパグリフロジンを投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要安全性転帰は,主要有害心血管イベント(MACE),すなわち心血管死亡・心筋梗塞・虚血性脳卒中の複合と定義した.主要有効性転帰は,MACE と,心血管死亡・心不全による入院の複合とした.副次的有効性転帰は,腎転帰の複合(推定糸球体濾過量が 40%以上低下して体表面積 1.73 m2 あたり 60 mL/分未満・新規末期腎不全・腎臓または心血管の原因による死亡)と,全死因死亡とした.

結 果

アテローム動脈硬化性心血管疾患を有しない 10,186 例を含む 17,160 例を中央値 4.2 年間追跡し,評価した.主要安全性転帰の解析では,ダパグリフロジンは MACE に関して,事前に規定したプラセボに対する非劣性基準を満たした(95%信頼区間 [CI] の上限<1.3,非劣性の P<0.001).2 つの主要有効性解析では,ダパグリフロジンによって MACE 発生率は低下しなかったが(ダパグリフロジン群 8.8% 対 プラセボ群 9.4%,ハザード比 0.93,95% CI 0.84~1.03,P=0.17),心血管死亡または心不全による入院の発生率は低下した(4.9% 対 5.8%,ハザード比 0.83,95% CI 0.73~0.95,P=0.005).これは心不全による入院の発生率の低下を反映したものであり(ハザード比 0.73,95% CI 0.61~0.88),心血管死亡に群間で差は認められなかった(ハザード比 0.98,95% CI 0.82~1.17).腎イベントはダパグリフロジン群の 4.3%とプラセボ群の 5.6%で発生し(ハザード比 0.76,95% CI 0.67~0.87),全死因死亡はそれぞれ 6.2%と 6.6%で発生した(ハザード比 0.93,95% CI 0.82~1.04).糖尿病ケトアシドーシスの発生頻度はダパグリフロジン群のほうがプラセボ群よりも高く(0.3% 対 0.1%,P=0.02),レジメンの中止にいたったか,重篤な有害事象とみなされた性器感染症の発生率もダパグリフロジン群のほうがプラセボ群よりも高かった(0.9% 対 0.1%,P<0.001).

結 論

2 型糖尿病患者でアテローム動脈硬化性心血管疾患またはそのリスクを有する例では,ダパグリフロジン治療によって,MACE の発生率はプラセボと比較して高くも低くもならなかったが,心血管死亡または心不全による入院の発生率は低下した.これは心不全による入院の発生率が低下したことを反映している.(アストラゼネカ社から研究助成を受けた.DECLARE–TIMI 58 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01730534)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 347 - 57. )