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February 21, 2019 Vol. 380 No. 8

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動脈硬化性イベントの予防に用いる低用量メトトレキサート
Low-Dose Methotrexate for the Prevention of Atherosclerotic Events

P.M. Ridker and Others

背景

炎症とアテローム血栓症は因果的に関連している.以前行われた無作為化試験では,インターロイキン-1βを中和することで炎症を抑制するモノクローナル抗体カナキヌマブの投与により,プラセボと比較して心血管イベントの発生率が低下した.われわれは,低用量メトトレキサートによって炎症を抑制する別のアプローチで同様の利益が得られるかを明らかにすることを試みた.

方 法

心筋梗塞または多枝冠動脈疾患の既往があり,2 型糖尿病またはメタボリックシンドロームも有する患者 4,786 例を対象に,低用量メトトレキサート(目標用量 15~20 mg/週)またはマッチさせたプラセボを投与する無作為化二重盲検試験を行った.全参加者に葉酸 1 mg/日を投与した.試験開始時の主要エンドポイントは,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,心血管死の複合であった.試験終了間近の,盲検解除前に,緊急血行再建にいたった不安定狭心症による入院を主要エンドポイントに追加した.

結 果

追跡期間中央値 2.3 年の時点で試験は中止された.メトトレキサートによって,プラセボと比較してインターロイキン-1β値,インターロイキン-6 値,C 反応性蛋白値は低下しなかった.最終的な主要エンドポイントは,メトトレキサート群の 201 例とプラセボ群の 207 例に発生した(発生率は 100 人年あたり 4.13 対 4.31,ハザード比 0.96,95%信頼区間 [CI] 0.79~1.16).当初の主要エンドポイントは,メトトレキサート群の 170 例とプラセボ群の 167 例に発生した(発生率は 100 人年あたり 3.46 対 3.43,ハザード比 1.01,95% CI 0.82~1.25).メトトレキサートは,肝酵素値上昇,白血球数減少,ヘマトクリット値減少に関連し,プラセボよりも基底細胞癌以外の皮膚癌の発生率が高かった.

結 論

安定しているアテローム血栓症患者では,低用量メトトレキサートを投与しても,インターロイキン-1β値,インターロイキン-6 値,C 反応性蛋白値は低下せず,心血管イベントがプラセボよりも少なくなることはなかった.(米国国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.CIRT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01594333)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 752 - 62. )