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February 21, 2019 Vol. 380 No. 8

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難治性の転移性トリプルネガティブ乳癌に対するサシツズマブ ゴビテカン-hziy
Sacituzumab Govitecan-hziy in Refractory Metastatic Triple-Negative Breast Cancer

A. Bardia and Others

背景

前治療歴のある転移性トリプルネガティブ乳癌患者において,標準化学療法は奏効率が低いことと無増悪生存期間が短いことに関連する.サシツズマブ ゴビテカン-hziy(sacituzumab govitecan-hziy)は,ヒト栄養膜細胞表面抗原 2(Trop-2)を標的とするヒト化モノクローナル抗体に SN-38 を結合させた抗体薬物複合体である.SN-38 はその抗体に切断可能なリンカーで結合している.サシツズマブ ゴビテカン-hziy は,高濃度の SN-38 を腫瘍に送達することができる.

方 法

進行上皮性癌患者に,21 日を 1 サイクルとして 1 日目と 8 日目にサシツズマブ ゴビテカン-hziy を,病勢進行または忍容できない毒性を認めるまで静脈内投与する第 1・2 相単群多施設共同試験を行った.108 例が,転移性トリプルネガティブ乳癌に対する 2 種類以上の抗癌治療を受けたあとに,サシツズマブ ゴビテカン-hziy 10 mg/kg 体重の投与を受けた.エンドポイントは安全性,各施設で評価した客観的奏効割合( 固形癌治療効果判定基準 [RECIST] バージョン 1.1 に基づく),奏効期間,臨床的利益の割合(完全奏効もしくは部分奏効,または 6 ヵ月以上の疾患安定と定義),無増悪生存期間,全生存期間などとした.事後解析で奏効割合と奏効期間を求め,盲検下独立中央判定で評価した.

結 果

トリプルネガティブ乳癌患者 108 例における前治療数の中央値は 3(範囲 2~10)であった.投与中に 4 例が死亡し,3 例(2.8%)が有害事象により投与を中止した.グレード 3 または 4 の有害事象(患者の 10%以上に発現)は貧血,好中球減少などであり,10 例(9.3%)に発熱性好中球減少症が発現した.奏効割合(完全奏効 3 例,部分奏効 33 例)は 33.3%(95%信頼区間 [CI] 24.6~43.1),奏効期間の中央値は 7.7 ヵ月(95% CI 4.9~10.8)であり,独立中央判定による評価ではそれぞれ 34.3%と 9.1 ヵ月であった.臨床的利益の割合は 45.4%であった.無増悪生存期間の中央値は 5.5 ヵ月(95% CI 4.1~6.3)であり,全生存期間は 13.0 ヵ月(95% CI 11.2~13.7)であった.

結 論

複数の治療歴のある転移性トリプルネガティブ乳癌患者において,サシツズマブ ゴビテカン-hziy は持続的な客観的奏効に関連した.骨髄毒性が主な有害反応であった.(イミュノメディクス社から研究助成を受けた.IMMU-132-01 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01631552)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 741 - 51. )