The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

September 12, 2019 Vol. 381 No. 11

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

出産前の n–3 系脂肪酸摂取と早産に関する無作為化試験
A Randomized Trial of Prenatal n–3 Fatty Acid Supplementation and Preterm Delivery

M. Makrides and Others

背景

先行研究で,母親の n–3 系長鎖多価不飽和脂肪酸摂取は早産の発生率を低下させる可能性があるが,出産予定日を超過する可能性があることが示されてきた.しかし,妊娠における n–3 系長鎖多価不飽和脂肪酸の役割についてはより多くのデータが必要である.

方 法

多施設共同二重盲検無作為化試験を行い,単胎または多胎の妊娠女性を,n–3 系長鎖多価不飽和脂肪酸を 900 mg 含む魚油カプセルの連日投与(n–3 群)または微量の n–3 系長鎖多価不飽和脂肪酸を含む植物油カプセルの連日投与(対照群)に割り付け,妊娠 20 週未満から開始し,妊娠 34 週または出産のどちらかにいたるまで継続した.主要転帰は早期早産とし,妊娠満 34 週未満での出産と定義した.その他の妊娠転帰と新生児転帰についても評価した.

結 果

オーストラリアの 6 施設で,女性 5,517 例の 5,544 件の妊娠が無作為に割り付けられた.このうち 5,486 件の妊娠を主要解析の対象とした.早期早産は n–3 群の 2,734 件中 61 件(2.2%)と,対照群の 2,752 件中 55 件(2.0%)に発生し,群間に有意差は認められなかった(調整相対リスク 1.13,95%信頼区間 [CI] 0.79~1.63,P=0.50).n–3 群の女性から出生した児は,対照群の女性から出生した児と比較して,出生体重が在胎期間に比して非常に大きい(LGA)児の割合が高かった(調整相対リスク 1.30,95% CI 1.02~1.65)以外は,過期産(妊娠 41 週超)での介入の発生率,有害事象,その他の妊娠・新生児転帰に群間で有意差は認められなかった.重篤な有害事象の発生率に群間で差はなかった.軽度の胃腸障害が n–3 群で対照群よりも高頻度に報告された.

結 論

妊娠早期(妊娠 20 週未満)から妊娠 34 週まで n–3 系長鎖多価不飽和脂肪酸を摂取しても,対照群と比較して早期早産の発生率が低下することも,過期産での介入発生率が上昇することもなかった.(オーストラリア国立保健医療研究審議会,タイン・リード財団から研究助成を受けた.ORIP 試験:Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12613001142729)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 1035 - 45. )