September 26, 2019 Vol. 381 No. 13
コントロール不良の喘息を有する黒人の小児と成人に対するステップアップ治療
Step-Up Therapy in Black Children and Adults with Poorly Controlled Asthma
M.E. Wechsler and Others
喘息の罹患率は黒人患者が白人患者よりも不均衡に高く,治療に情報をもたらす臨床試験における黒人患者の参加者は少数である.データは,コントロールが不十分な喘息患者では,長時間作用性β刺激薬(LABA)の追加による利益が,ステロイド増量による利益よりも大きいことを示している.しかし,これらのデータは黒人患者の治療に情報をもたらさない可能性がある.
2 件の前向き無作為化二重盲検試験を行った.1 件は小児,もう 1 件は思春期児と成人を対象とした.いずれの試験でも,患者は,黒人と確認されている祖父母が少なくとも 1 人おり,低用量の吸入ステロイドではコントロールが不十分な喘息を有していた.吸入ステロイド(フルチカゾンプロピオン酸エステル)への LABA(サルメテロール)の追加,フルチカゾン投与量の 2~5 倍量へのステップアップ,またはその両方の治療法の組合せを比較した.喘息増悪,喘息コントロール日数,肺機能を評価する複合指標を用いて治療法を比較した.データは遺伝子型に基づくアフリカ系祖先で層別化した.
フルチカゾン 5 倍量(250μg 1 日 2 回)を,サルメテロール(50μg 1 日 2 回)追加+フルチカゾン 2 倍量(100μg 1 日 2 回)と比較した場合,良好な反応はフルチカゾン 5 倍量群の小児の 46%,フルチカゾン 2 倍量+サルメテロール追加群の小児の 46%で得られた(P=0.99).対照的に,思春期児と成人では,サルメテロール追加群のほうが,フルチカゾン増量群よりも良好な反応を示す患者が多かった(サルメテロール+低用量フルチカゾン 49% 対 中用量フルチカゾン 28% [P=0.003];サルメテロール+中用量フルチカゾン 49% 対 高用量フルチカゾン 31% [P=0.02]).アフリカ系祖先の割合とベースラインのバイオマーカーはいずれも,特定の治療への良好な反応を予測しなかった.8 歳未満の小児では,吸入ステロイドの増量は,尿中コルチゾール/クレアチニン比の低下と関連していた.
黒人の思春期児・成人とは対照的に,コントロール不良の喘息を有する黒人の小児のほぼ半数が吸入ステロイドの増量に優れた反応を示し,ほぼ半数が LABA の追加に優れた反応を示した.(米国国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.BARD 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01967173)