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September 26, 2019 Vol. 381 No. 13

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中等症~重症の潰瘍性大腸炎に対するベドリズマブとアダリムマブとの比較
Vedolizumab versus Adalimumab for Moderate-to-Severe Ulcerative Colitis

B.E. Sands and Others

背景

生物学的治療は,潰瘍性大腸炎患者に広く用いられている.炎症性腸疾患患者でそれらを直接比較した試験は少ない.

方 法

34 ヵ国 245 施設で行われた第 3b 相二重盲検ダブルダミー無作為化実薬対照試験で,中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎の成人を対象に,ベドリズマブがアダリムマブよりも優れているかどうかを明らかにするため,この 2 剤を比較した.アダリムマブ以外の腫瘍壊死因子阻害薬への曝露歴がある患者は,25%を上限として許容した.患者を,ベドリズマブ 300 mg を 1 日目と 2,6,14,22,30,38,46 週目に静注(+プラセボを皮下注)する群と,アダリムマブ 1 回 40 mg を 1 週目に計 160 mg,2 週目に計 80 mg を皮下注し,その後 50 週目まで隔週で 40 mg を皮下注(+プラセボを静注)する群に無作為に割り付けた.いずれの群も用量漸増は認めなかった.主要評価項目は,52 週の時点での臨床的寛解(Mayo スケール [0~12 点で,スコアが高いほど重症であることを示す] の合計が 2 点以下で,Mayo スケールを構成する 4 項目のサブスコア [0~3 点] に 1 点を超えるものがないことと定義)とした.第 1 種の過誤を制御するため,有効性の評価項目は変数を次の順序で検証する階層的手法を用いて解析した:52 週の時点での臨床的寛解,内視鏡的改善(Mayo スケールの内視鏡サブスコア 0~1),ステロイドなしでの寛解.

結 果

769 例が無作為化され,ベドリズマブ(383 例)またはアダリムマブ(386 例)の投与を 1 回以上受けた.52 週の時点で臨床的寛解が認められた患者の割合は,ベドリズマブ群のほうがアダリムマブ群よりも高く(31.3% 対 22.5%,差 8.8 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 2.5~15.0,P=0.006),内視鏡的改善についても同様であった(39.7% 対 27.7%,差 11.9 パーセントポイント,95% CI 5.3~18.5,P<0.001).ステロイドなしでの臨床的寛解は,ベドリズマブ群では 12.6%,アダリムマブ群では 21.8%で達成された(差 -9.3 パーセントポイント,95% CI -18.9~0.4).曝露歴で補正した感染の発生率は,100 患者年あたりベドリズマブ群 23.4 件,アダリムマブ群 34.6 件であり,これに付随する重篤な感染の発生率は,100 患者年あたりそれぞれ 1.6 件と 2.2 件であった.

結 論

中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎患者を対象としたこの試験では,ベドリズマブは臨床的寛解と内視鏡的改善の達成に関してアダリムマブよりも優れていたが,ステロイドなしでの臨床的寛解に関しては優れていなかった.(タケダ社から研究助成を受けた.VARSITY 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02497469,EudraCT 登録番号 2015-000939-33)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 1215 - 26. )