October 3, 2019 Vol. 381 No. 14
有病率の高い状況におけるコミュニティ全体への結核スクリーニング
Community-wide Screening for Tuberculosis in a High-Prevalence Setting
G.B. Marks and Others
世界保健機関は,結核を地球上から根絶するために高い目標を設定している.しかし,現在の進捗率ではこれらの目標を達成できないとみられる.
結核の有病率の低下を目的としたコミュニティ全体への能動的なスクリーニングの有効性を,標準的な受動的症例発見のみの場合と比較評価するために,ベトナムのカマウ省でクラスター無作為化比較研究を行った.60 の介入クラスター(サブコミューン)に居住する 15 歳以上の人を対象に,症状の有無にかかわらず,自然喀痰検体の迅速核酸増幅検査による年 1 回の肺結核スクリーニングを 2014 年に開始し,3 年間行った.60 の対照クラスターには,最初の 3 年間は能動的スクリーニングを行わなかった.主要転帰は 15 歳以上の人における細菌学的に確認された肺結核の有病率とし,4 年目に評価した.副次的転帰は,2012 年に出生した小児における結核感染の有病率とし,4 年目にインターフェロンγ放出アッセイによって評価した.
4 年目の有病率調査では,介入群の 42,150 人と対照群の 41,680 人を対象とした.介入群の 53 例(人口 100,000 人あたり 126 例)と対照群の 94 例(人口 100,000 人あたり 226 例)が,核酸増幅検査で結核菌(Mycobacterium tuberculosis)陽性により肺結核であることが確認された(有病率比 0.56,95%信頼区間 [CI] 0.40~0.78,P<0.001).2012 年に出生した小児における結核感染の有病率は介入群 3.3%,対照群 2.6%であった(有病率比 1.29,95% CI 0.70~2.36,P=0.42).
ベトナムのカマウ省に居住する 15 歳以上の人を対象に 3 年間コミュニティ全体へのスクリーニングを行った結果,4 年目の肺結核の有病率は,標準的な受動的症例発見のみの場合よりも低くなった.(オーストラリア国立保健医療研究審議会から研究助成を受けた.ACT3 試験:Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12614000372684)