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October 3, 2019 Vol. 381 No. 14

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HIV に感染した妊娠女性における妊娠中または産褥期のイソニアジド予防療法
Isoniazid Preventive Therapy in HIV-Infected Pregnant and Postpartum Women

A. Gupta and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染し,抗レトロウイルス療法を受けている妊娠女性における,結核予防のためのイソニアジド療法の安全性,有効性,適切なタイミングは明らかにされていない.

方 法

多施設共同二重盲検プラセボ対照非劣性試験で,HIV 感染妊娠女性を,28 週間のイソニアジド予防療法を妊娠中に開始する群(即時群)と分娩後 12 週目に開始する群(待期群)に無作為に割り付けた.母親と乳児を分娩後 48 週まで追跡した.主要転帰は,母親におけるグレード 3 以上の治療関連有害事象と,毒性による治療レジメンの恒久的中止の複合とした.非劣性マージンは,主要転帰発生率の群間差の 95%信頼区間上限が 100 人年あたり 5 件未満とした.

結 果

956 例が登録された.主要転帰イベントは,即時群の 477 例中 72 例(15.1%)と待期群の 479 例中 73 例(15.2%)に発生した(発生率は 100 人年あたりそれぞれ 15.03 件と 14.93 件,率差 0.10,95%信頼区間 [CI] -4.77~4.98 で,非劣性基準を満たした).即時群の 2 例と待期群の 4 例が死亡した(発生率は 100 人年あたりそれぞれ 0.40 と 0.78,率差 -0.39,95% CI -1.33~0.56).死亡はすべて産褥期に起こり,4 例は肝不全によるものであった(肝不全で死亡した女性のうち,2 例はイソニアジドの投与を受けていた [各群 1 例]).結核は 6 例に発生し(各群 3 例),発生率は即時群では 100 人年あたり 0.60,待期群では 100 人年あたり 0.59 であった(率差 0.01,95% CI -0.94~0.96).即時群では,複合有害妊娠転帰に含まれるイベント(死産または自然流産,乳児の低出生体重,早産,乳児の先天異常)の発生率が待期群よりも高かった(23.6% 対 17.0%,差 6.7 パーセントポイント,95% CI 0.8~11.9).

結 論

イソニアジド予防療法の妊娠中の開始に伴うリスクは,産褥期の開始に伴うリスクよりも大きいと考えられた.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.IMPAACT P1078 TB APPRISE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01494038)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 1333 - 46. )