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October 17, 2019 Vol. 381 No. 16

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家族性高コレステロール血症の小児に対するスタチンの 20 年間の追跡調査
20-Year Follow-up of Statins in Children with Familial Hypercholesterolemia

I.K. Luirink and Others

背景

家族性高コレステロール血症は,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値の高度の上昇と早発性の心血管疾患を特徴とする.小児に対するスタチン療法の短期の有効性は十分に確立されているが,心血管疾患リスクの変化を評価する長期の追跡調査研究は少ない.

方 法

小児に対するスタチン療法の 20 年間の追跡調査研究を報告する.過去にプラバスタチンの 2 年間の有効性と安全性を評価するプラセボ対照試験に参加していた家族性高コレステロール血症患者 214 例(患者の 98%は遺伝学的に確認された)に,罹患していない同胞 95 例との,追跡調査への参加を依頼した.参加者は,質問票に回答し,血液検体を提供し,頸動脈内膜中膜肥厚を測定された.家族性高コレステロール血症患者における心血管疾患の発生率を,家族性高コレステロール血症に罹患している親 156 例における発生率と比較した.

結 果

当初の対象集団のうち,家族性高コレステロール血症患者 214 例中 184 例(86%)と同胞 95 例中 77 例(81%)が追跡調査に参加した.患者 214 例のうち,心血管イベントのデータを入手しえたのは 203 例(95%),心血管系の原因による死亡のデータを入手しえたのは 214 例(100%)であった.患者の LDL コレステロール値の平均は 237.3 mg/dL から 160.7 mg/dL(6.13 mmol/L から 4.16 mmol/L)に低下した.ベースライン値からは 32%の低下であった.治療目標(LDL コレステロール値<100 mg/dL [2.59 mmol/L])は 37 例(20%)で達成された.追跡期間全体での頸動脈内膜中膜肥厚の進行の平均は,家族性高コレステロール血症患者が 0.0056 mm/年,同胞が 0.0057 mm/年であった(性別で補正後の差の平均 -0.0001 mm/年,95%信頼区間 -0.0010~0.0008).39 歳の時点での心血管イベントおよび心血管系の原因による死亡の累積発生率は,家族性高コレステロール血症患者のほうが,罹患している親よりも低かった(それぞれ 1% 対 26%,0% 対 7%)

結 論

この研究では,家族性高コレステロール血症患者に対する小児期でのスタチン療法の開始により,頸動脈内膜中膜肥厚の進行が抑制され,成人期における心血管疾患リスクが低下した.(AMC Foundation から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 1547 - 56. )