The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

October 31, 2019 Vol. 381 No. 18

外科レジデント研修における差別,暴言・暴力,ハラスメント,バーンアウト
Discrimination, Abuse, Harassment, and Burnout in Surgical Residency Training

Y.-Y. Hu and Others

背景

医師,とくに研修医と外科の専門医にはバーンアウト(燃え尽き症候群)のリスクがある.不当な扱い(差別,暴言・暴力,セクシュアルハラスメント)は,バーンアウトと自殺念慮に寄与する可能性がある.

方 法

一般外科レジデントを対象に,横断的全国調査を 2018 年の米国外科専門医認定機構の研修中に受けるテスト(In-Training Examination)とともに行い,過去 1 年間の不当な扱い,バーンアウト(修正 Maslach バーンアウト調査票を使用),自殺念慮を評価した.多変量ロジスティック回帰モデルを用いて,不当な扱いと,バーンアウトおよび自殺念慮との関連を評価した.調査では,レジデントに性別の回答を求めた.

結 果

262 のすべての外科研修プログラムに参加しているレジデント 7,409 人(適格なレジデントの 99.3%)のうち,31.9%が自認する性に基づく差別を,16.6%が人種差別を,30.3%が暴言または暴力(あるいはその両方)を,10.3%がセクシュアルハラスメントを報告した.不当な扱いのすべての評価項目で,報告は女性のほうが割合が高く,女性の 65.1%が性差別を,19.9%がセクシュアルハラスメントを報告した.患者と患者の家族が性差別(レジデントの 43.6%が報告)と人種差別(47.4%)の発生源としてもっとも多かったのに対し,セクシュアルハラスメント(27.2%)と暴言・暴力(51.9%)の発生源としてもっとも多かったのは指導医であった.不当な扱いを報告したレジデントの割合には,研修プログラムによって大きなばらつきがあった(例:暴言では 0~66.7%).レジデントの 38.5%はバーンアウトの症状が毎週あることを報告し,4.5%は過去 1 年間に自殺念慮をもったことを報告した.月に少なくとも数回,差別,暴言・暴力,ハラスメントを受けていると報告したレジデントは,不当な扱いを受けていないと回答したレジデントと比較して,バーンアウトの症状(オッズ比 2.94,95%信頼区間 [CI] 2.58~3.36)と,自殺念慮(オッズ比 3.07,95% CI 2.25~4.19)を有する割合が高かった.不当な扱いで補正を行っていないモデルでは,女性のほうが男性よりもバーンアウトの症状を報告する割合が高いことが示されたが(42.4% 対 35.9%,オッズ比 1.33,95% CI 1.20~1.48),不当な扱いでモデルを補正すると差は明瞭ではなくなった(オッズ比 0.90,95% CI 0.80~1.00).

結 論

一般外科レジデント,とくに女性では,不当な扱いが頻繁に起こっており,バーンアウトおよび自殺念慮と関連している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 1741 - 52. )