The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

November 7, 2019 Vol. 381 No. 19

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

Phe508del アレルを 1 個有する囊胞性線維症に対するエレクサカフトール,テザカフトール,アイバカフトールの併用
Elexacaftor–Tezacaftor–Ivacaftor for Cystic Fibrosis with a Single Phe508del Allele

P.G. Middleton and Others

背景

囊胞性線維症は,囊胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)蛋白をコードする遺伝子の変異によって引き起こされ,患者の 90%近くが少なくとも 1 コピーの Phe508del CFTR 変異を有する.Phe508del CFTR 変異と最小機能変異のヘテロ接合体(Phe508del–最小機能遺伝子型)を有する患者を対象とした第 2 相試験では, 次世代の CFTR 矯正薬であるエレクサカフトール(elexacaftor)は,テザカフトール(tezacaftor)とアイバカフトール(ivacaftor)との併用で,Phe508del CFTR の機能と臨床転帰を改善した.

方 法

Phe508del–最小機能遺伝子型を有する 12 歳以上の囊胞性線維症患者を対象に,エレクサカフトール,テザカフトール,アイバカフトールの併用の有効性と安全性を確認する第 3 相無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.患者を,エレクサカフトール+テザカフトール+アイバカフトール群とプラセボ群に無作為に割り付け,24 週間投与した.主要評価項目は,第 4 週の時点での予測 1 秒量(FEV1)に対する比率のベースラインからの変化の絶対値とした.

結 果

403 例が無作為化され,実薬またはプラセボの投与を少なくとも 1 回受けた.エレクサカフトール+テザカフトール+アイバカフトール群では,プラセボ群と比較して予測 FEV1 に対する比率が第 4 週の時点で 13.8 ポイント高く,第 24 週の時点までに 14.3 ポイント高くなり,呼吸器症状の増悪の発生率は 63%低く,囊胞性線維症質問票改訂版(CFQ-R)の呼吸器領域のスコア(0~100 で,スコアが高いほど患者報告による呼吸器症状 QOL が高いことを示す;臨床的に重要な最小の差は 4 ポイント)は 20.2 ポイント高く,汗中塩化物イオン濃度は 41.8 mmol/L 低かった(すべての比較で P<0.001).エレクサカフトール+テザカフトール+アイバカフトールはおおむね安全で,副作用プロファイルは忍容可能であった.大部分の患者で軽度または中等度の有害事象が発現した.試験レジメンの中止にいたった有害事象は,エレクサカフトール+テザカフトール+アイバカフトール群の 1%で発現した.

結 論

エレクサカフトール+テザカフトール+アイバカフトールは,Phe508del–最小機能遺伝子型を有し,過去に受けた CFTR 調節薬レジメンが無効であった囊胞性線維症患者に有効であった.(バーテックス ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.VX17-445-102 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03525444)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 1809 - 19. )