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July 18, 2019 Vol. 381 No. 3

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ボツワナにおける HIV 感染の全員を対象とする検査,治療の拡大,新規発生
Universal Testing, Expanded Treatment, and Incidence of HIV Infection in Botswana

J. Makhema and Others

背景

コミュニティ内の抗レトロウイルス療法(ART)と男性包皮切除の実施範囲を拡大することで,新規ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の集団レベルでの発生率を低下させることが可能かどうかはわかっていない.

方 法

2013~18 年に,ボツワナの 30 の農村部または郊外で,ペアマッチによるコミュニティ無作為化試験を行った.介入群の 15 の集落の参加者に対し,HIV 検査とカウンセリング,ケアへの連携,ART(CD4 数が標準ケアよりも多い時点で開始)を行い,男性包皮切除へのアクセスを拡大した.標準ケア群も 15 の集落で構成された.全員を対象とする ART は 2016 年半ばに両群で利用可能になった.各コミュニティのおよそ 20%の世帯から参加者のサンプルを無作為抽出し,年に約 1 回行った検査から新規 HIV 感染率を算出した.事前に規定した主要解析は,HIV 感染率比の並べ替え検定とした.ペアで層別化した Cox モデルを用いて 95%信頼区間を計算した.

結 果

対象とした 12,610 人(適格であった世帯員の 81%)のうち,29%が HIV 陽性であった.HIV 陰性であった 8,974 人(各群 4,487 人)のうち,95%が中央値で 29 ヵ月のあいだに HIV 感染の再検査を受けた.介入群の 57 人と標準ケア群の 90 人が HIV に感染した(年間 HIV 感染率はそれぞれ 0.59%と 0.92%).並べ替え検定では,標準ケア群と比較した介入群の未補正 HIV 感染率比は 0.69(P=0.09)であった(ペアで層別化した Cox モデルでの 95%信頼区間 [CI] 0.46~0.90).6 コミュニティ(各群 3 コミュニティ)で行った試験終了時の調査では,HIV-1 RNA 量 400 コピー/mL 以下の HIV 陽性参加者の割合の増加は,介入群(70%から 88%へ 18 パーセントポイント増加)のほうが,標準ケア群(75%から 83%へ 8 パーセントポイント増加)よりも有意に大きかった(相対リスク 1.12,95% CI 1.09~1.16).包皮切除を受けた男性の割合は,介入群で 10 パーセントポイント増加し,標準ケア群で 2 パーセントポイント増加した(相対リスク 1.26,95% CI 1.17~1.35).

結 論

HIV 検査,ケアへの連携,ART の実施範囲は,集団におけるウイルス抑制の増加と関連していた.(米国大統領エイズ救済緊急計画ほかから研究助成を受けた.Ya Tsie 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01965470)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 230 - 42. )