The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

August 1, 2019 Vol. 381 No. 5

黄熱集団発生中の分割用量のワクチンの免疫原性 ― 最終報告
Immunogenicity of Fractional-Dose Vaccine during a Yellow Fever Outbreak — Final Report

R.M. Casey and Others

背景

2016 年,アンゴラとコンゴ民主共和国で生じた黄熱の集団発生に対応したことで,世界は黄熱ワクチン不足に陥った.その結果,キンシャサで行われた予防キャンペーンでは,2 歳以上の小児と非妊娠成人 760 万人に 17DD 黄熱ワクチンの分割用量(標準用量の 1/5 の用量 [0.1 mL] を含有)が接種された.この研究の目的は,大規模キャンペーンにおける分割用量接種に対する免疫応答を評価することであった.

方 法

ワクチン接種を行う 6 施設で 4 つの年齢層の参加者を募集した.ワクチン接種前と接種後 1 ヵ月,1 年の時点で採取した血液検体中の黄熱ウイルスに対する中和抗体価を,50%をカットオフ値とするプラーク減少中和試験(PRNT50)を用いて評価した.PRNT50 の抗体価が 10 以上の参加者を血清陽性者とした.ベースラインの抗体価が 10 未満で,追跡調査時に血清陽性となった参加者は,「セロコンバージョンが起こった」と分類した.ベースラインで血清陽性で,追跡調査時に抗体価が 4 倍以上に上昇した参加者は,「免疫応答が起こった」と分類した.

結 果

1 ヵ月の追跡調査を完了した 716 例のうち,705 例(98%,95%信頼区間 [CI] 97~99)はワクチン接種後に血清陽性であった.ベースラインで血清陰性であった 493 例のうち,482 例(98%,95% CI 96~99)にセロコンバージョンが起こった.ベースラインで血清陽性であった 223 例のうち,148 例(66%,95% CI 60~72)に免疫応答が起こった.ベースラインの抗体価がより低いことは,免疫応答が起こった確率がより高いことに関連した(P<0.001).1 年の追跡期間を完了した 684 例のうち,666 例(97%,95% CI 96~98)が黄熱抗体血清陽性であった.ベースラインで黄熱抗体血清陰性であった参加者の 1 ヵ月と 1 年の時点での抗体価の分布は,年齢群によって有意に異なった(いずれの比較も P<0.001).

結 論

17DD 黄熱ワクチンの分割用量接種は,ベースラインに血清陰性であった参加者におけるセロコンバージョンの誘導に有効であった.ワクチン接種後 1 ヵ月の時点で血清陽性であった参加者のほぼ全例で,接種後 1 年の時点でも抗体価が血清陽性の閾値を超えた状態が維持された.これらの所見から,集団発生対策として分割用量のワクチン接種の実施が支持される.(米国国際開発庁,米国疾病管理予防センターから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 444 - 54. )