サービスを十分に受けていない地域における説明責任を果たせる医療機関モデルの初期効果
Early Effects of an Accountable Care Organization Model for Underserved Areas
M.J. Trombley and Others
メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)は,農村部やサービスを十分に受けていない地域において,メディケア医療費節減分分配プログラム(MSSP)に参加する説明責任を果たせる医療機関(ACO)の増加を促すため,ACO 投資モデル(AIM)を開発した.AIM では,適格な MSSP ACO に対して,節減分分配額を前払いすることにより金銭的支援を行う.AIM ACO の実施初年度の支出と利用の指標に関する成績を推定することは,このような地域の ACO の存立可能性を理解するうえで有用であろう.
41 の AIM ACO に属する出来高払い方式の受給者群と,ACO 市場に属するが主として ACO 以外の医療提供者による医療を受けている受給者群(比較群)について,メディケアの請求データと加入データを解析した.AIM ACO に属する受給者におけるベースライン期間(2013~15 年)から実施期間(2016 年)にかけての転帰の変化と,比較群の受給者における同時期の変化を,difference-in-differences デザインを用いて比較した.主要評価項目はメディケアパート A とパート B の支出総額とした.
医療提供者の AIM への参加により,比較群に対するメディケア支出総額の減少の差は受給者 1 人あたり月 28.21 ドル,総額で 1 億 3,100 万ドルの減少となった.同期間に,CMS は 7,620 万ドルを前払いし,節減分分配額が前払い額を上回った ACO に対して追加で 620 万ドルの節減分分配額を支払った.CMS の支出におけるこの 8,240 万ドルを考慮すると,正味の減少は総額 4,860 万ドルとなり,受給者 1 人あたり月 10.46 ドルの正味減少に相当した.入院件数の減少と急性期後の施設内ケア利用の減少が,全体の支出で観察された減少に寄与していた.
農村部やサービスを十分に受けていない地域で医療を提供する医療提供者が ACO 節減分分配契約に参加し,前払い投資を受けることで,メディケア支出額は ACO 以外の医療提供者よりも減少した.(メディケア・メディケイドサービスセンターから研究助成を受けた.)