The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

September 5, 2019 Vol. 381 No. 10

肺胞蛋白症に対する GM-CSF 吸入
Inhaled GM-CSF for Pulmonary Alveolar Proteinosis

R. Tazawa and Others

背景

肺胞蛋白症は,肺胞内にサーファクタントが異常に蓄積することを特徴とする疾患である.症例の大部分は自己免疫性であり,肺胞マクロファージによる肺サーファクタントの除去を妨げる顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)に対する自己抗体が原因である.非盲検第 2 相試験で,重症肺胞蛋白症患者に対する組換えヒト GM-CSF 吸入にある程度の治療効果が示されたが,軽症~中等症の患者に対する有効性は明らかでない.

方 法

二重盲検プラセボ対照試験において,室内気吸入時の動脈血酸素分圧(PaO2)が 70 mmHg 未満(有症状の患者<75 mmHg)の自己免疫性肺胞蛋白症患者 64 例を対象に,組換えヒト GM-CSF(サルグラモスチム [sargramostim])125μg またはプラセボの 1 日 2 回 7 日間の吸入を隔週で 24 週間行った.プラセボ投与に割り付けられた患者の疾患が増悪する可能性を排除するため,重症肺胞蛋白症患者(PaO2<50 mmHg)は除外した.主要エンドポイントは肺胞気動脈血酸素分圧較差のベースラインから 25 週目までの変化量とした.

結 果

肺胞気動脈血酸素分圧較差の平均(±SD)の変化量は,GM-CSF 群(33 例)のほうがプラセボ群(30 例)よりも有意に改善した(ベースラインからの変化量の平均 -4.50±9.03 mmHg 対 0.17±10.50 mmHg,P=0.02).CT 上の肺野密度のベースラインから 25 週目までの変化量も,GM-CSF 群のほうが良好であった(群間差 -36.08 Hounsfield 単位,95%信頼区間 -61.58~-6.99,Mann-Whitney の U 検定と pseudo–median の信頼区間の Hodges–Lehmann 推定を用いて算出).重篤な有害事象は GM-CSF 群の 6 例とプラセボ群の 3 例に発現した.

結 論

この無作為化比較試験で,組換えヒト GM-CSF 吸入は,軽症~中等症の患者に対して検査上の評価項目である動脈血酸素分圧を改善させるという点においては有益であるが,臨床上の利益(QOL アンケートのスコアの改善や 6 分間歩行テストの距離の改善)を認めるにいたらなかった.(日本医療研究開発機構,厚生労働省から研究助成を受けた.PAGE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02835742, 日本医師会治験促進センター登録番号 JMA-IIA00205)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 923 - 32. )