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September 16, 2021 Vol. 385 No. 12

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転移性去勢抵抗性前立腺癌に対するルテチウム-177–PSMA-617
Lutetium-177–PSMA-617 for Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer

O. Sartor and Others

背景

転移性去勢抵抗性前立腺癌は,近年の進歩にもかかわらず,依然致死的である.転移性去勢抵抗性前立腺癌では,前立腺特異的膜抗原(PSMA)が高発現している.ルテチウム-177(177Lu)–PSMA-617 は,PSMA 発現細胞と周辺の微小環境にベータ粒子を放出する放射性リガンド療法である.

方 法

転移性去勢抵抗性前立腺癌を有し,1 種類以上のアンドロゲン受容体経路遮断薬と 1~2 種類のタキサンレジメンによる治療歴があり,ガリウム-68(68Ga)標識 PSMA-11 陽電子放射断層撮影(PET)–CT スキャンで PSMA 陽性であった患者を対象として,177Lu-PSMA-617 を評価する国際共同非盲検第 3 相試験を行った.患者を,177Lu-PSMA-617(7.4 GBq を 6 週ごとに 4~6 サイクル投与)と試験実施計画書で許容された標準治療を併用する群と,標準治療のみを行う群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.化学療法,免疫療法,ラジウム-223(223Ra),試験薬は,試験実施計画書で許容された標準治療から除外した.相互に代替可能な主要エンドポイントは画像に基づく無増悪生存期間と全生存期間とし,それぞれハザード比 0.67 と 0.73 を検出するための検出力を設定した.重要な副次的エンドポイントは,客観的奏効,病勢コントロール,症候性骨関連事象発現までの期間とした.投与中の有害事象は,最終投与後 30 日以内,または次の抗癌治療開始までに発現した有害事象とした.

結 果

2018 年 6 月~2019 年 10 月中旬に,スクリーニングを受けた 1,179 例のうち 831 例が無作為化された.患者背景の分布は 2 群で類似していた.追跡期間中央値は 20.9 ヵ月であった.177Lu-PSMA-617 と標準治療の併用は,標準治療のみと比較して,画像に基づく無増悪生存期間(中央値 8.7 ヵ月 対 3.4 ヵ月,進行または死亡のハザード比 0.40,99.2%信頼区間 [CI] 0.29~0.57,P<0.001)と全生存期間(中央値 15.3 ヵ月 対 11.3 ヵ月,死亡のハザード比 0.62,95% CI 0.52~0.74,P<0.001)の両方を有意に延長した.すべての重要な副次的エンドポイントについても,177Lu-PSMA-617 のほうが有意に良好であった.グレード 3 以上の有害事象の発現率は,177Lu-PSMA-617 と標準治療の併用のほうが,標準治療のみよりも高かったが(52.7% 対 38.0%),QOL に有害な影響はなかった.

結 論

進行した PSMA 陽性転移性去勢抵抗性前立腺癌患者において,177Lu-PSMA-617 による放射性リガンド療法を標準治療に追加した場合に,画像に基づく無増悪生存期間と全生存期間が延長した.(エンドサイト社 [ノバルティス社の子会社] から研究助成を受けた.VISION 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03511664)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 1091 - 103. )