HIV 治療のためのドルテグラビルまたはダルナビルとジドブジンまたはテノホビルの併用
Dolutegravir or Darunavir in Combination with Zidovudine or Tenofovir to Treat HIV
N.I. Paton and Others
世界保健機関は,ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)感染の二次治療として,ドルテグラビルを 2 つのヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTI)のいずれかと併用することを推奨している.薬剤耐性のために NRTI の活性がないことが予測される場合のこのレジメンの有効性に関するエビデンスや,NRTI をテノホビルからジドブジンに切り替えることの推奨に関するエビデンスは限られている.
2×2 要因デザインの非盲検非劣性試験で,一次治療が失敗している患者(HIV-1 ウイルス量≧1,000 コピー/mL)を,ドルテグラビルの投与を受ける群とリトナビルでブーストしたダルナビルの投与を受ける群,さらに,テノホビルの投与を受ける群とジドブジンの投与を受ける群に無作為に割り付けた.全例がラミブジンの投与を受けた.主要転帰は 48 週の時点でのウイルス量が 400 コピー/mL 未満であることとし,米国食品医薬品局のスナップショットアルゴリズムで評価した(主要転帰を達成した患者の割合の群間差の非劣性マージンは 12 パーセントポイントとした).
サハラ以南のアフリカの 7 施設で 464 例を登録した.48 週の時点でウイルス量が 400 コピー/mL 未満であった患者の割合は,ドルテグラビル群 90.2%(235 例中 212 例),ダルナビル群 91.7%(229 例中 210 例)であり(差 -1.5 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -6.7~3.7,P=0.58;ドルテグラビルの非劣性を示したが,優越性は示さなかった),テノホビル群 92.3%(233 例中 215 例),ジドブジン群 89.6%(231 例中 207 例)であった(差 2.7 パーセントポイント,95% CI -2.6~7.9,P=0.32;テノホビルの非劣性を示したが,優越性は示さなかった).活性があることが予測される NRTI がなかった患者のサブグループでは,ドルテグラビル群もダルナビル群も,患者の 90%超がウイルス量 400 コピー/mL 未満を達成した.有害事象の発現率は,いずれの要因の比較においても群間で大きな差はなかった.
HIV-1 感染患者の治療において,ドルテグラビルと NRTI の併用は,広範囲の NRTI 耐性があり,活性があることが予測される NRTI がなかった患者も含め,有効であった.テノホビルは,二次治療としてジドブジンに対して非劣性であった.(ヤンセン社から研究助成を受けた.NADIA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03988452)