March 23, 2023 Vol. 388 No. 12
自由行動下の成人におけるコーヒー摂取の健康に対する急性影響
Acute Effects of Coffee Consumption on Health among Ambulatory Adults
G.M. Marcus and Others
コーヒーは,世界でもっともよく摂取されている飲料の一つであるが,コーヒー摂取の健康に対する急性影響は明らかにされていない.
前向き無作為化症例クロスオーバー試験を行い,カフェイン入りコーヒーが,心臓の異所性興奮と不整脈,1 日の歩数,睡眠時間(分),血清グルコース値に及ぼす影響を検討した.成人 100 例が,持続記録式の心電図機器,手首装着型の加速度計,持続血糖モニターを装着した.参加者は,地理的位置データを収集するためのスマートフォンアプリケーションをダウンロードした.14 日の期間中,「カフェイン入りコーヒーを摂取する」または「カフェインを避ける」への無作為割付けを,毎日送信するテキストメッセージを用いて行った.主要転帰は,1 日の心房期外収縮数の平均とした.無作為割付けの遵守は,参加者が記録するリアルタイムの指標,毎日の調査,コーヒー購入時の日付入りレシートに対する払戻し,コーヒーショップ訪問のバーチャルモニタリング(GPS による位置情報通知)を用いて評価した.
参加者の平均(±SD)年齢は 39±13 歳であり,51%が女性,51%が非ヒスパニック系白人であった.無作為割付けの遵守度は高いと評価された.カフェイン入りコーヒーの摂取は,1 日 58 回の心房期外収縮と関連したのに対し,カフェインを避けた日は 1 日 53 回であった(率比 1.09,95%信頼区間 [CI] 0.98~1.20,P=0.10).カフェイン入りコーヒーの摂取とカフェイン摂取なしとを比較すると,1 日の心室期外収縮数はそれぞれ 154 と 102(率比 1.51,95% CI 1.18~1.94),1 日の歩数は 10,646 と 9,665(差の平均 1,058,95% CI 441~1,675),夜間の睡眠時間は 397 分と 432 分(差の平均 36,95% CI 25~47),血清グルコース値は 95 mg/dL と 96 mg/dL(差の平均 -0.41,95% CI -5.42~4.60)であった.
この無作為化試験では,カフェイン入りコーヒーを摂取した場合に,カフェインを避けた場合よりも 1 日の心房期外収縮が有意に多くなることはなかった.(カリフォルニア大学サンフランシスコ校,米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.CRAVE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03671759)