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April 6, 2023 Vol. 388 No. 14

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広範囲脳梗塞に対する血管内血栓回収療法の試験
Trial of Endovascular Thrombectomy for Large Ischemic Strokes

A. Sarraj and Others

背景

広範囲脳梗塞患者に対する血管内血栓回収療法の有効性と安全性を検討する試験は,限られた集団で行われている.

方 法

内頸動脈または中大脳動脈水平部(M1)の閉塞による脳梗塞を発症した患者を対象として,発症後 24 時間以内の血管内血栓回収療法を評価するための前向き無作為化非盲検適応的国際共同試験を行った.対象は,虚血コア体積が大きい患者とし,その定義はアルバータ脳卒中プログラム CT スコア(ASPECTS;0~10 で,数値が低いほど梗塞範囲が広いことを示す)が 3~5 であるか,CT 灌流画像または拡散強調 MRI 上のコア体積が 50 mL 以上であることとした.患者を,血管内血栓回収療法+内科的治療を行う群と,内科的治療のみを行う群に 1:1 の割合で割り付けた.主要転帰は,90 日の時点での修正ランキンスケールスコア(0~6 で,数値が高いほど障害が重度であることを示す)とした.副次的転帰は機能的自立とした.

結 果

有効性が示されたため,試験は早期に中止された.この時点で,178 例が血栓回収療法群,174 例が内科的治療群に割り付けられていた.修正ランキンスケールスコアの分布が,血栓回収療法のほうが転帰が良好であることを示す方向に変化する一般化オッズ比は 1.51(95%信頼区間 [CI] 1.20~1.89,P<0.001)であった.機能的自立は,血栓回収療法群の患者の 20%と内科的治療群の 7%で得られた(相対リスク 2.97,95% CI 1.60~5.51).死亡率は 2 群で同程度であった.血栓回収療法群では,動脈アクセス部位の合併症が 5 例,血管解離が 10 例,脳血管穿孔が 7 例,一過性血管攣縮が 11 例に発現した.症候性頭蓋内出血は,血栓回収療法群の 1 例と内科的治療群の 2 例に発現した.

結 論

広範囲脳梗塞患者において,血管内血栓回収療法は内科的治療よりも良好な機能的転帰をもたらしたが,血管合併症と関連した.脳出血の頻度は両群とも低かった.(ストライカー ニューロバスキュラー社から研究助成を受けた.SELECT2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03876457)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 1259 - 71. )