広範囲急性期脳梗塞に対する血管内治療の試験
Trial of Endovascular Therapy for Acute Ischemic Stroke with Large Infarct
X. Huo and Others
広範囲急性期脳梗塞に対する血管内治療の役割は,異なる集団での広範な検討はなされていない.
中国で,前方循環の主幹動脈に急性閉塞を生じ,アルバータ脳卒中プログラム CT スコア(ASPECTS;0~10 で,数値が低いほど梗塞範囲が広いことを示す)が 3~5 であるか,梗塞コア体積が 70~100 mL である患者を対象として,多施設共同前向き非盲検無作為化試験を行った.患者を,最終健常確認時刻から 24 時間以内に,血管内治療+内科的治療を行う群と,内科的治療のみを行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰は,90 日の時点での修正ランキンスケールスコア(0~6 で,数値が高いほど障害が重度であることを示す)とし,主要目的は,90 日の時点での修正ランキンスケールスコアの分布に 2 群間で変化が生じるかどうかを明らかにすることであった.副次的転帰は,修正ランキンスケールスコアが 0~2 であること,0~3 であることなどとした.主要安全性転帰は,無作為化後 48 時間以内の症候性頭蓋内出血とした.
456 例が組み入れられ,231 例が血管内治療群,225 例が内科的治療群に割り付けられた.両群とも患者の約 28%が静注血栓溶解療法を受けた.2 回目の中間解析後,血管内治療の有効性を理由に試験は早期に中止された.90 日の時点で,修正ランキンスケールスコアの分布には,血管内治療のほうが内科的治療単独よりも転帰が良好であることを示す方向に変化が認められた(一般化オッズ比 1.37,95%信頼区間 1.11~1.69,P=0.004).症候性頭蓋内出血は,血管内治療群では 230 例中 14 例(6.1%),内科的治療群では 225 例中 6 例(2.7%)に発現し,頭蓋内出血はそれぞれ 113 例(49.1%)と 39 例(17.3%)に発現した.副次的転帰の解析結果は,大部分が主要解析の結果を支持した.
中国で行った試験で,広範囲脳梗塞に対して 24 時間以内に血管内治療を受けた患者のほうが,内科的治療のみを受けた患者よりも転帰は良好であったが,頭蓋内出血が多かった.(コヴィディエン ヘルスケア インターナショナル トレーディング社 [上海] ほかから研究助成を受けた.ANGEL-ASPECT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04551664)