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April 6, 2023 Vol. 388 No. 14

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再発または難治性の高リスク神経芽腫に対する GD2-CART01
GD2-CART01 for Relapsed or Refractory High-Risk Neuroblastoma

F. Del Bufalo and Others

背景

腫瘍細胞に発現するジシアロガングリオシド GD2 を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)発現 T 細胞を用いた免疫療法は,高リスク神経芽腫患者の治療選択肢になるかもしれない.

方 法

誘導性カスパーゼ 9 自殺遺伝子を発現する自家第 3 世代 GD2-CAR-T 細胞(GD2-CART01)を評価するために,再発または難治性の高リスク神経芽腫患者(1~25 歳)を,学術的な第 1・2 相臨床試験に組み入れた.

結 果

複数の前治療歴を有する神経芽腫の患児 27 例(難治性の 12 例,再発の 14 例,一次治療終了時点で完全奏効の 1 例)が組み入れられ,GD2-CART01 の投与を受けた.GD2-CART01 の作製に失敗した例はなかった.第 1 相試験では 3 つの用量(CAR 陽性 T 細胞 3×106 個/kg 体重,6×106 個/kg,10×106 個/kg)を検討し,用量制限毒性は記録されなかったことから,第 2 相試験での推奨用量は 10×106 個/kg とした.サイトカイン放出症候群は 27 例中 20 例(74%)に発現し,そのうち 19 例(95%)は軽症であった.1 例で自殺遺伝子が活性化し,GD2-CART01 の速やかな消失を伴った.GD2 を標的とする CAR-T 細胞は生体内で増殖し,27 例中 26 例の末梢血中で,注入後最長 30 ヵ月間検出された(持続期間中央値 3 ヵ月,範囲 1~30).17 例が治療に反応し(全奏効割合 63%),9 例が完全奏効,8 例が部分奏効であった.推奨用量の投与を受けた患児における 3 年全生存率は 60%,3 年無イベント生存率は 36%であった.

結 論

高リスク神経芽腫の治療における GD2-CART01 の使用は,実施可能かつ安全であった.治療関連毒性は発現したが,自殺遺伝子の活性化により副作用は抑制された.GD2-CART01 は持続的な抗腫瘍効果を有する可能性がある.(イタリア医薬品庁ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号 NCT03373097)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 1284 - 95. )