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April 20, 2023 Vol. 388 No. 16

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乳児の RS ウイルス疾患を予防するための妊娠中の 2 価融合前 F 蛋白ワクチン
Bivalent Prefusion F Vaccine in Pregnancy to Prevent RSV Illness in Infants

B. Kampmann and Others

背景

妊娠中のワクチン接種が,新生児と乳児における RS ウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)関連下気道疾患の負担を軽減できるかどうかは明らかでない.

方 法

18 ヵ国で行った第 3 相二重盲検試験で,妊娠 24~36 週の女性を,2 価の RSV 融合前 F 蛋白ベース(RSVpreF)ワクチン 120 μg の単回筋肉内注射を行う群と,プラセボ注射を行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要有効性エンドポイントは,乳児における,受診にいたった重症 RSV 関連下気道疾患と,受診にいたった RSV 関連下気道疾患の 2 つとし,生後 90 日,120 日,150 日,180 日までに発生したものとした.主要エンドポイントに関するワクチンの有効性の達成基準は,ワクチン有効率の信頼区間(90 日の時点では 99.5%信頼区間 [CI],それよりあとは 97.58% CI)の下限が 20%より大きい場合に満たされることとした.

結 果

事前に規定した中間解析では,主要エンドポイントの 1 つに関して,ワクチンの有効性の達成基準が満たされた.全体で,妊娠女性 3,682 例がワクチン,3,676 例がプラセボの接種を受け,それぞれから出生した児の 3,570 例と 3,558 例が評価された.受診にいたった重症 RSV 関連下気道疾患は,生後 90 日までにワクチン群の女性の児 6 例とプラセボ群の女性の児 33 例に発生し(ワクチン有効率 81.8%,99.5% CI 40.6~96.3),生後 180 日までにそれぞれ 19 例と 62 例に発生した(ワクチン有効率 69.4%,97.58% CI 44.3~84.1).受診にいたった RSV 関連下気道疾患は,生後 90 日までにワクチン群の女性の児 24 例とプラセボ群の女性の児 56 例に発生し(ワクチン有効率 57.1%,99.5% CI 14.7~79.8),統計学的達成基準を満たさなかった.安全性シグナルは,参加した母親と月齢 24 ヵ月までの乳幼児のいずれにも検出されなかった.女性の注射後 1 ヵ月以内,児の生後 1 ヵ月以内に報告された有害事象の発現率は,ワクチン群(女性の 13.8%,児の 37.1%)とプラセボ群(それぞれ 13.1%,34.5%)とで同程度であった.

結 論

妊娠中に接種する RSVpreF ワクチンは,乳児の受診にいたる重症 RSV 関連下気道疾患の予防に有効であり,安全性の懸念は認められなかった.(ファイザー社から研究助成を受けた.MATISSE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04424316)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 1451 - 64. )